青のパティニール 最初の風景画家

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  • サイズ A5判/ページ数 299,/高さ 21cm
  • 商品コード 9784622078449
  • NDC分類 723.358
  • Cコード C0071

出版社内容情報

精緻な細部と美しい青で五世紀ぶりに浮上した画家。「風景」という概念の誕生を絵画と言語と文学に探るハイブリッドな研究エッセー。

歴史の闇から浮上した16世紀初頭ネーデルラントの画家パティニール。わずか十数点しか残らない作品の、風景にある驚くほど精緻な細部と青のグラデーションの美しさは見る者を魅了する。「風景」という概念はまず絵画に生まれ、そして言葉や文学表現に生まれた。パティニールの全作品をカラーで収録し、中世とルネサンスの合間に生きた画家の意図と活動を探る、絵画と文学の、言語と政治史のハイブリッドな研究エッセー。

プロローグ(映画『パティニール』/ルーヴル美術館の絵/フランドル旅行/アントウェルペンの街)
第一章 作品はどれか?(美術史家の迷い/魅せられた研究者/ふたつの作品総目録/共同制作者がいる/画家たちの友情/驚きと感嘆/恣意的作品リスト)
第二章 謎の生涯(生まれた時と場所/ディナンの町/修業時代とヒエロニムス・ボス/遍歴そしてブルッヘ/ジェノヴァ旅行からアントウェルペンへ/静かな工房/デューラーとの友情/南仏旅行と家の購入/パティニールの死)
第三章 風景画のほうへ(純粋な風景画/ミニアチュールの世界/「風景」という言葉/閉じこめられた言葉/エラスムスやトマス・モアたち/ラブレーからモンテーニュへ/ペトラルカの山/景色の断片/最初の風景画家)
第四章 青の世界(水平線を描く/鳥のまなざし/ムーズ川とスヘルデ川/そびえたつ岩山/ロック・クライミング/世界風景/木々のすがた/色の遠近法/パティニール・ブルー)
第五章 聖人たちのいる風景((一)聖ヒエロニムス 孤独な聖人/初期のヒエロニムス像/動物たちの意味/不思議な細部(二)エジプトへの逃避 奇跡の場面/のどかな逃避旅行/聖母子と奇妙な人たち/麦畑さまざま(三)ステュクス川のカロン 『アエネーイス』と『神曲』/地獄と楽園/なぜカロンか?/川の理念(四)聖クリストフォロス ちぐはぐな絵/素描と油彩画/小説『ジョアキム親方の秘密』/世界への窓)
第六章 時の闇と光(ハプスブルク家の人びと/フェリペ二世の趣味/オーストリアのハプスブルク家/忘れられてゆくパティニール/作家フロマンタンの絵画論/ユイスマンス家にあった絵/美術史家たちの登場/愛の連鎖)

エピローグ

あとがき 
註・使用文献・索引

内容説明

歴史の闇から浮かび上がった、16世紀ネーデルラントの画家パティニール。その絵のきわめて独特な世界にわけいり、ヨーロッパにおける「風景」という概念の発生をとらえた、絵画と文学のハイブリッドな研究エッセー。

目次

第1章 作品はどれか?
第2章 謎の生涯
第3章 風景画のほうへ
第4章 青の世界
第5章 聖人たちのいる風景
第6章 時の闇と光

著者等紹介

石川美子[イシカワヨシコ]
1980年、京都大学文学部卒業。東京大学人文科学研究科博士課程を経て、1992年、パリ第7大学で博士号取得。フランス文学専攻。現在、明治学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すみの

29
ネーデルランド出身の画家パティニールは生涯に10数点ほどの作品しか残さなかった。人物画よりは(背景としての)風景画が素晴らしく、精細で青色を用いる(表紙のとおり)。仏文学者である著者は、「風景」概念と文学の風景描写を研究するうちに絵画の風景描写をも研究の対象としたようで、特にこの「青のパティニール」に惹かれたようだ。口絵には16作品がカラーで収録され「青」の濃淡が美しい。作品に共通する彼独自の描き方、その作品の分析・解釈説明と読んでみて始めて知ることもあり、読むのに時間はかかったが面白かった。2015/06/02

星落秋風五丈原

12
パティニールという最初の風景画家の生涯とその画についての説明。一つの絵の中でいくつもの物語が進行する。青が印象的。2015/02/26

7
グランマ・モーゼス展が素晴らしかったので図録を購入したら、ヨアヒム・パティニールという画家との対比で論じられており、そこに掲載されていた小さな絵がブリューゲルっぽくて気になって、調べたら画集は無く本書が出版されていることが判明。早速図書館で借りて来た次第。16枚の口絵がなかなか素晴らしい上に90枚の参考図もあって見応え十分。それ以上にパティ二ールに対する愛情と冷静な分析で画家の人生と作品を紐解いており、謎解きみたいで非常に面白かった。ボスの一部の作品の背景も担当したのではとの推理は鳥肌ものだ。2022/01/03

ヒラタ

2
パティニールの作品は、プラド美術館でボスの絵画と同じ部屋に展示してあり、引き込まれるような風景に足をとめた記憶があります。ボス好きとしてはボスについて本の中に書いてあることを100%肯定はできませんが、著者のパティニールに対する愛情は受け入れます。じっくり拡大して鑑賞したい画家だとおもわせてもらいました。著書で紹介されている「ジョアキム親方の秘密」は邦訳がないのでしょうか、こちらも読んでみたい。2021/04/14

S.J.

2
素晴らしい風景を前にすると、多くの現代人は当たり前のようにそれを感じ取るものだ。しかしこの「風景」という概念が意識され始めるようになったのは1480年代のことらしい。そして「風景画」という言葉がフランスで初めて登場するまでには更に約半世紀を経ることになる。当研究エッセーは、中世とルネサンスの端境期に当たるこの時代に活躍した、初期フランドル派の画家であり且つ風景画家の先駆者とみなされているジョアキム・パティニールのベールに包まれた創作活動を推理しつつ、「風景画」という概念の誕生についても考察している。2018/03/23

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