出版社内容情報
アウシュヴィッツの死者の声を伝えるツェランと、負の歴史を露わにするキーファー。二人の知られざる関わりから戦争の記憶を問う。
アウシュヴィッツの死者の代訴者といわれるツェランと、ナチスのイメージを呼び起こす作品で物議を醸したキーファー。ユダヤ性とドイツ性、被害と加害と対照的な二人の作品の間には、実は深いつながりがある。キーファーにはツェランの詩をテーマにした連作があり、歴史との対話をいま現在も続けている。これまで語られてこなかった二人の知られざる関係を浮かび上がらせ、戦争の記憶を問う。
第一章 「死のフーガ」と灰の花――キーファーのなかのツェラン
第二章 「ボヘミアは海辺にある」――バッハマンをめぐるツェランとキーファー
インテルメッツォ?T 「夜の茎」と「花」
第三章 変転する水晶――シュティフターをめぐるツェランとキーファー
第四章 白鳥の叫びからヴァーグナーの響きへ――キーファーのなかのヴァーグナー
インテルメッツォ?U ツェランと音楽
第五章 ライン川とニーベルンゲン――反ユダヤ主義との闘い
インテルメッツォ?V 羊歯の秘密
第六章 《息の結晶》――ジゼル・ツェラン=レトランジュ
第七章 映画を観るツェラン――あるいはアウシュヴィッツの表象不可能性
第八章 不在の書物を求めて――オースター、ジャベスとツェラン
インテルメッツォ?W フレーブニコフをめぐるキーファーとツェラン>
第九章 飛行の夢、天使の墜落――ツェランとキーファーの飛行機
第十章 灰と鉛の想像力――錬金術としての詩作と芸術
エピローグ ツェランの「低水位」を読む
内容説明
語りえぬ死者の声を詩に結晶させたツェランの問いを、キーファーはなぜ絵画の形で引き継いだのか。二人の創作における関わりから戦争の記憶を浮かび上がらせる、新しい評論の誕生。図版多数。
目次
第1章 「死のフーガ」と灰の花―キーファーのなかのツェラン
第2章 「ボヘミアは海辺にある」―バッハマンをめぐるツェランとキーファー
第3章 変転する水晶―シュティフターをめぐるツェランとキーファー
第4章 白鳥の叫びからヴァーグナーの響きへ―キーファーのなかのヴァーグナー
第5章 ライン河とニーベルンゲン―反ユダヤ主義との戦い
第6章 “息の結晶”―ジゼル・ツェラン=レトランジュ
第7章 映画を観るツェラン―あるいはアウシュヴィッツの表象不可能性
第8章 不在の書物を求めて―オースター、ジャベスとツェラン
第9章 飛行の夢、天使の墜落―ツェランとキーファーの飛行機
第10章 灰と鉛の想像力―錬金術としての詩作と芸術
著者等紹介
関口裕昭[セキグチヒロアキ]
1964年大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部卒。同大学院博士課程文学研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学博士(文学)。現在、明治大学教授。専門は近現代ドイツ抒情詩、ドイツ・ユダヤ文学、比較文学、主著に、『バウル・ツェランへの旅』(郁文堂、2006年、オーストリア文学会賞)、『評伝パウル・ツェラン』(慶應義塾大学出版会、2007年、小野十三郎賞記念特別賞)、『パウル・ツェランとユダヤの傷―“間テクスト性”研究』(慶應義塾大学出版会、2011年、連合駿台会学術賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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