出版社内容情報
ホロコーストはどう語られ、記憶されるべきか。レーヴィからデリダまで、ホロコースト後の証言・フィクション・歴史・哲学を解読。
ホロコーストはどう語られ、記憶されるべきか。人類史上最悪のこの出来事は歴史学、文学、哲学を一変させ、その応答はいまも続く。生き残った人の証言、ホロコーストを題材にしたフィクション、歴史修正主義、哲学。それらを「読む」とは、どのようなことだろうか。レーヴィ、ヴィーゼル、レヴィナス、デリダ、アガンベン等、膨大なホロコースト表象を網羅して鮮やかに解読、直接体験していない大量死の記憶をいかに継承するかを問う。
序論 ホロコーストとポストモダン
<第一部 読むこととホロコースト>
第一章 「他の書物と同様の仕方で読んだり消費したりしてはならない」――同一化と証言というジャンル
第二章 経験の痕跡――証言のテクスト
第三章 「忠実でかつ懐疑的、近くかつ遠く」――記憶、ポスト記憶、同一性
第四章 ホロコースト読解――一九九〇年から二〇〇三年までのホロコースト・フィクションにおける記憶と同一化
<第二部 ホロコーストのメタヒストリー>
第五章 歴史主義に抗して――歴史、記憶、そして真実
第六章 「脚注なら野蛮でないと言えるだろうか」――サウル・フリートレンダーの仕事における歴史、記憶そしてホロコーストの真実
第七章 「何が歴史的説明を構成するのか」――ゴールドハーゲン/ブラウニング論争におけるメタヒストリーと歴史的説明の限界
第八章 否定論のメタヒストリー――アーヴィング/リプシュタット裁判とホロコースト否定論
<第三部 ホロコーストの痕跡>
第九章 汲み尽くせぬ意味、消去しえぬ声――レヴィナスとホロコースト
第十章 哲学の灰、灰の哲学――デリダとホロコーストの痕跡
第十一章 理解の限界――加害者の哲学と哲学的歴史
第十二章 ポストモダン、ホロコースト、人間の限界
結論
謝辞
訳者解題
訳者あとがき
引用文献の略称
主要参照文献
原注
索引
内容説明
ホロコーストは世界の見方を根底から変えた。証言、フィクション、歴史論争…膨大な応答を明晰に解読、直接経験していない大量死の記憶をいかに継承するかを問う。
目次
序論 ホロコーストとポストモダン
第1部 読むこととホロコースト(「他の書物と同様の仕方で読んだり消費したりしてはならない」―同一化と証言というジャンル;経験の痕跡―証言のテクスト;「忠実でかつ懐疑的、近くかつ遠く」―記憶、ポスト記憶、同一性;ホロコースト読解―一九九〇年から二〇〇三年までのホロコースト・フィクションにおける記憶と同一化)
第2部 ホロコーストのメタヒストリー(歴史主義に抗して―歴史、記憶、そして真実;「脚注なら野蛮でないと言えるだろうか」―サウル・フリートレンダーの仕事における歴史、記憶そしてホロコーストの真実;「何が歴史的説明を構成するのか」―ゴールドハーゲン/ブラウニング論争におけるメタヒストリーと歴史的説明の限界;否定論のメタヒストリー―アーヴィング/リプシュタット裁判とホロコースト否定論)
第3部 ホロコーストの痕跡(汲み尽くせぬ意味、消去しえぬ声―レヴィナスとホロコースト;哲学の灰、灰の哲学―デリダとホロコーストの痕跡;理解の限界―加害者の哲学と哲学的歴史;ポストモダン、ホロコースト、人間の限界)
著者等紹介
イーグルストン,ロバート[イーグルストン,ロバート] [Eaglestone,Robert]
1968年生まれ。ウェールズ大学で博士号取得。現在、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校英文科教授。同校ホロコースト研究所元所長。専攻は現代文学、現代思想、ホロコースト研究
田尻芳樹[タジリヨシキ]
1964年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。ロンドン大学で博士号取得。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻はイギリス文学
太田晋[オオタシン]
1968年生まれ。1998年東京大学大学院単位取得退学。現在、成城大学法学部法律学科教授。専攻はイギリス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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