数値と客観性―科学と社会における信頼の獲得

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  • サイズ A5判/ページ数 316,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622077817
  • NDC分類 404
  • Cコード C1040

出版社内容情報

数値になるとなぜ信じるのか。専門家の判断に対する社会の信頼がゆらぐとき――客観性の文化と政治をめぐる科学史・科学論の基本書。

なぜ数値になると人は信頼(ときに過信)するのか。ギリスピーとクーンに学んだ科学史家が、19-20世紀イギリスの保険数理士、フランスの技術官僚、アメリカ陸軍技術団の3例から、社会現象が数値化されるプロセスを徹底追究。ひるがえって自然科学の領域での数値化の意味を逆照射する。エキスパート・ジャッジメント(専門家判断)に対する信頼がゆらぐとき――客観性の文化と政治をめぐる科学史・科学技術社会論の基本図書。

日本語版への序/序/謝辞
はじめに――客観性という文化
第一部 数の力
第1章 自然記述の技巧の世界
第2章 社会を記述する数値が妥当とされるまで
第3章 経済指標と科学の価値
第4章 定量化の政治哲学
第二部 信頼の技術
第5章 客観性に対抗する専門家――会計士と保険数理士
第6章 フランスの国家技術者と技術官僚の曖昧さ
第7章 アメリカ陸軍技術者と費用便益分析の興隆
第三部 政治的な科学共同体
第8章 客観性と専門分野の政治
第9章 科学は共同体によってつくられている?
解題(藤垣裕子)/訳者あとがき/参考文献/原註/索引

内容説明

なぜ「数字は正しい」のか。ギリスピーとクーンに学んだ科学史家が、数値化の政治・文化を照射。ローカルな知識か客観性か。専門家に対する信頼がゆらぐとき。国際科学技術社会論学会Fleck賞。

目次

第1部 数の力(自然記述の技巧の世界;社会を記述する数値が妥当とされるまで;経済指標と科学の価値;定量化の政治哲学)
第2部 信頼の技術(客観性に対抗する専門家―会計士と保険数理士;フランスの国家技術者と技術官僚の曖昧さ;アメリカ陸軍技術者と費用便益分析の興隆)
第3部 政治的な科学者共同体(客観性と専門分野の政治;科学は共同体によってつくられている?)

著者等紹介

ポーター,セオドア・M.[ポーター,セオドアM.] [Porter,Theodore M.]
1953年生まれ。現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校歴史学教授。専門は科学史・科学論。スタンフォード大学、プリンストン大学に学び、チャールズ・ギリスピー、トマス・クーンの指導を受ける。1982‐83年、ビーレフェルト大学学際研究センター「確率革命」研究プロジェクトに参加し、Kr¨uger et al.eds.,The Probabilistic Revolution,2 vols.(MIT Press,1987)に執筆

藤垣裕子[フジガキユウコ]
1962年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。学術博士。専門は科学技術社会論・科学計量学。現在、東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系教授。2002‐2005年Society for Social Studies of Science(4S:国際科学技術社会論学会)理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

渡邊利道

4
読みにくかったが、内容がアクチュアルで非常に面白く読んだ。ここでいわれている「客観性」というのは科学的なものというよりも、単に共通認識が可能になる度合いとでもいったもの。専門家集団では厳密さが重要でも、一般人も含む社会的な過程では知識が共有される基盤は異なる。「定量的」と「数学的」とを違う概念として捉えて、前者で重視される「手続き」後者では「理論」の対立を、民主主義社会であればあるほど前者が重視されるというのをアメリカ(と専門家集団を重視するフランスと比較する)の例を出して細かく分析しているのが面白い。2017/03/15

au-lab

3
客観性の成立要件について、科学論・科学史的な視座から論考を重ねる。客観性や実証主義について専門家知識の信頼性との関係性をもとに批判的に記述する点は面白いが、科学の成立そのものについては中立的な立場であるため踏み込みが弱く感じてしまう。ラトゥールやフーコーにも言及があるものの、社会的構成については触れた程度にとどまっており、個人的には物足りない印象。2016/09/14

takao

1
数値は客観的か?2017/05/18

いたる

1
事例の部分が(最も大事なのだろうが)かなりたるかったが、専門家集団への信頼性欠如が領域の客観性=手続標準化と数値化を推し進めたとする論は文句なく面白い。逆に言えば信頼を得られていない新興分野ほど数値に頼ろうとする傾向があった。実験心理学で統計テストを最初期に導入したのが超心理学だったという一行情報が個人的にツボ。→ハッキングが書いてる。"Telepathy: Origins of Randomization in Experimental Design"2014/03/02

川原 健太郎

0
15-113/42016/03/18

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