出版社内容情報
下意識や解離を発見し、フロイトに影響を与えた精神医学の祖ジャネの主著。個々の患者分析を心理学という学問に結実させた基本文献。
P・ジャネはフロイトと同時代に活躍し、下意識、解離などの概念を発見して精神医学の基礎を築いた。20世紀後半、心的外傷とPTSDの関係が注目されてからその仕事が見直され、北米を中心に深い影響を与えることになる。本書はジャネの主著で、「新しい力動精神医学の体系を打ち立てた記念碑的著作」(エランベルジェ)。精神医学の「最後の古典」だ。
「自動症」とは、私たちの意思のコントロールを離れて、観念や行動がひとりでに立ち現れてくる心理現象のこと。おもにヒステリー患者に現れるこれらの病態を分析し、ジャネは意識の下層にある「無意識の存在」に辿りつく。症例分析が「心理学」に結実していく過程がまざまざと記述される。心理学があくまで個々の症例の上にあることを実証する本書は、精神病が「症状」ではなく、人間全体の病であることを教えてくれる。心理学の誕生を告げる基本文献、待望の翻訳。
序/第一部 全自動症/第一章 心理現象を個々別々に切り離して観察する試み/第二章 忘却と多彩な心理学的存在の経時的出現/第三章 暗示、意識野の狭窄/第二部 部分自動症/第一章 下意識の行動/第二章 感覚麻痺、心理現象の同時的存在/心理学的統合不全(解離)の多彩な形態/第四章 精神力とその衰弱/結論/付録(症例の要約)/原註/訳者あとがきーー心理学の誕生
内容説明
フロイトと並ぶ精神医学の祖、ピエール・ジャネ。その徹底した臨床的眼差しでヒステリー患者の多彩な病態に分け入り、無意識の存在を発見した。哲学と独立した「心理学」の誕生を告げる決定的文献。
目次
第1部 全自動症(心理現象を個々別々に切り離して観察する試み;忘却と多彩な心理学的存在の経時的出現;暗示、意識野の狭窄)
第2部 部分自動症(下意識の行動;感覚麻痺、心理現象の同時的存在;心理学的統合不全(解離)の多彩な形態
精神力とその衰弱)
著者等紹介
ジャネ,ピエール[ジャネ,ピエール] [Janet,Pierre]
1859‐1947。1859年パリに生まれる。フロイトとならぶ代表的心理学者。19世紀末、サルペトリエール病院でヒステリー、解離の心理学的治療に携わり、外傷性記憶、意識下固着観念、意識野の狭窄、交代性人格、心理学的エネルギー、心的緊張、心的傾向(人格)の階層構造など重要な諸概念を提唱。後年は、ヒステリーから強迫観念、精神衰弱の病理学的考察に視点を移し、それらの論考をコレージュ・ド・フランスで「社会的人格の研究」と題して講じている
松本雅彦[マツモトマサヒコ]
1937年に生まれる。精神科医。1964年京都大学医学部卒業。阪本病院、京都大学精神科勤務を経て、京都大学医療技術短期大学部教授、京都府立洛南病院院長、京都光華女子大学教授を経て、現在稲門会いわくら病院勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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