出版社内容情報
初の翻訳書の刊行を記念した、ツムトアのアートディレクションによる日本語版オリジナル企画。
「いまだ未来にある現実を指し示していくようなドローイングが、私の仕事では重要になる。したがってドローイングのさいには、非本質的なものによって逸らされない程度で、自分が求める基本的な雰囲気がつかめるような微妙なところで視覚的描写をとどめている。そのためには、求める建築の性質が、ドローイングそれ自体に宿っていなければならない。彫刻家が自分の作る彫刻を素描するときと同様に、そのドローイングはたんなる観念の写しなのでなく、建物の完成をもってはじめて終結する創造行為の一要素なのだ。
そうした種類のドローイングであるなら、私たちは一歩後ろに下がり、じっくり眺め、まだ存在しないがすでに生成しはじめているなにかをつかめるようになる。」
――本書「物を見つめる」より
ブックデザイン=葛西薫/表紙テキスタイル=須藤玲子(NUNO)/アートディレクション= ペーター・ツムトア
クロス装/函入/限定300部
特別付録=ツムトアの建築ドローイング(コロタイプ/便利堂)一葉付(約210mm×370mm)
*本文エッセイは、2012年5月に刊行したペーター・ツムトア『建築を考える』普及版(ISBN978-4-622-07655-1 定価3,360円)と同内容です
目次
物を見つめる
美しさの硬い芯
物への情熱
建築の身体
建築を教える、建築を学ぶ
美に形はあるか?
実在するものの魔術
風景のなかの光
建築と風景
ライス・ハウス
著者等紹介
ツムトア,ペーター[ツムトア,ペーター][Zumthor,Peter]
1943年スイス、バーゼルに、家具職人の息子として生まれる。父の元で家具職人の修業後、バーゼルの工芸学校とニューヨークのプラット・インスティテュートで建築とインダストリアルデザインを学ぶ。その後10年間、スイス、グラウビュンデン州で史跡保護の仕事に携わる。1979年よりハルデンシュタインにアトリエを構える。ハルデンシュタイン在住
鈴木仁子[スズキヒトコ]
1956年岐阜県生まれ。名古屋大学文学部卒業。名古屋大学大学院文学研究科修士課程中退。椙山女学園大学教授。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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