人生と運命〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 529p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622076568
  • NDC分類 983
  • Cコード C0097

出版社内容情報

スターリングラード戦を背景に、物理学者一家をめぐって展開する叙事詩的歴史小説。ソ連時代に抹殺され甦った戦後ロシア文学の最高峰

内容説明

第二次世界大戦で最大の激闘、スターリングラード攻防戦を舞台に、物理学者一家をめぐって展開する叙事詩的歴史小説(全三部)。兵士・科学者・農民・捕虜・聖職者・革命家などの架空人物、ヒトラー、スターリン、アイヒマン、独軍・赤軍の将校などの実在人物が混ざりあい、ひとつの時代が圧倒的迫力で文学世界に再現される。戦争・収容所・密告―スターリン体制下、恐怖が社会生活を支配するとき、人間の自由や優しさや善良さとは何なのか。権力のメカニズムとそれに抗う人間のさまざまな運命を描き、ソ連時代に「最も危険」とされた本書は、後代への命がけの伝言である。

著者等紹介

グロスマン,ワシーリー[グロスマン,ワシーリー][Гроссман,Василий]
1905‐1964。ウクライナ・ベルディーチェフのユダヤ人家庭に生まれる。モスクワ大学で化学を専攻。炭鉱で化学技師として働いたのち、小説を発表。独ソ戦中は従軍記者として前線から兵士に肉薄した記事を書いて全土に名を馳せる。43年、生まれ故郷の町で起きた独軍占領下のユダヤ人大虐殺により母を失う。44年、トレブリンカ絶滅収容所を取材、ホロコーストの実態を世界で最初に報道する。次第にナチとソ連の全体主義体制が本質において大差ないとの認識に達し、50年代後半から大作『人生と運命』を執筆、60年に完成

齋藤紘一[サイトウコウイチ]
1943年群馬県生まれ。東京大学理学部化学科卒。在学中に米川哲夫氏にロシア語を学ぶ。通産省入省後、課長・審議官を務める。93年退官後、ISO(国際標準化機構)日本代表委員、独立行政法人理事長等をへて現在、翻訳家。99年、通訳案内業免許(ロシア語)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

207
第二次世界大戦スターリングラード攻防戦を 題材に スターリン体制下でのソビエトの 不都合な真実を描く。 本書の背後に 立ち込める深い闇 全体主義の恐怖 のようなものが怖い。 独ソ両陣営が作り出した「収容所」では 何が行われていたのか? ユダヤ人ヴィクトル一家に何が起こって いくのか? ユダヤ人絶滅収容所を世界で初めて報道した 著者は 本書で何を描いてくれるのか? 第1部は始まりであり、登場人物の多さに 圧倒されるが、次部以降に期待。2017/06/07

ケイ

157
とんでもない本を手にしたのだと読み始めてすぐに覚えた怖く震えるような予感。作者はユダヤ系ロシア人。生きている間は検閲により徹底的に破壊された内容だが、作者の死後四半世紀も過ぎてからのペレストロイカまで原稿を保管していた人がいた。それで今日、私たちは読むことができるのだ。登場人物の表だけで上下段に分かれて5ページ以上。100名以上になるだろうか。場面は、ソ連の街、収容所、戦場、ソ連でドイツに近くドイツに制圧された街、ドイツの強制収容所。中でも圧巻なのはスターリングラードの攻防。ソ連は耐えたのだと思った。2016/12/25

NAO

75
ユダヤ人物理学者ヴィクトル・シュトルームの話、ドイツの捕虜収容所に連行されたロシア人たち、スターリングラード攻防戦、ヴィクトルの妻リュドミーラの前夫アバルチュークがいるラーゲリでの話などが、交互に描かれていく。ヴォルガ川を挟んでの戦闘シーンは怖ろしさを感じるほどにリアルで、18章のドイツに占領されたウクライナから出されたヴィクトルの母親の手紙は静謐な悲しみに満ちている。そういった戦争の悲惨さ、ユダヤ人への虐待のひどさを描く一方で、その間に挟み込まれた自然描写があまりにも美しく、たまらない気持ちになる。 2017/12/08

Willie the Wildcat

42
戦下の人間模様。家庭、軍、収容所、そして”貨車”。事象と時の流れの感覚の差異が印象深い。”手紙”が、その時間に深さを加えている感。大勢の悪意の中での個の善意。荷物を運ぶなどできる範囲での善意、故に意味有り。リューダが息子トーリャの墓に語りかける場面とヴィクトルの孤独感は、共に矛盾への問いかけという印象。問題は、誰・何が如何に応えるのか。これが今後の展開でもあり、(理想論ではあるが)人の持つ善や義への回帰と信じたい。なお、巻末の解説での本著の出版経緯も一見の価値有り。2017/01/26

ヘラジカ

42
第1巻を読み終えた段階で、語られる人物とその人生の膨大さに押し潰されそうになった。トルストイの『戦争と平和』に譬えられる向きがあるようだが、正直に申し上げてあの有名古典ですらこの作品の前では霞んでしまうだろう。作者もトルストイの影響を受けていることを公言しているようなので、作品を理解するためには『戦争と平和』は必読かもしれない。しかし作品自体の密度・壮大さは、全く以て比べようがない。3分の1を読み終えたばかりにも拘わらず『戦争と平和』から受けた感慨を既に軽く凌駕していると言わざるを得ないのだ。2015/10/14

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