出版社内容情報
カフカ(を読む、感じる、表現すること)は著者のライフワーク。作曲・演出した舞台「カフカノート」の台本と訳・論考を一冊に。
内容説明
この本はカフカのノートブックから集めた36の断片の束であり、カフカについてのノートでもある。1990年の批判版全集のテクストにより、ドイツ語原文と日本語のどちらでも上演可能。日本語訳は、パラグラフ、句読点、歌の場合は音節数もできるだけ原文に近づけた。構成・作曲を手がけた舞台「カフカノート」にむけて書かれたスコア、対訳台本、制作ノートを収録。カフカはピアニスト高橋悠治をささえる影の思索者。すすみ、停まり、曲がり、途絶えてはまたつづく、その書きかたをなぞるように翻訳されたカフカ。ことばの向こうにカフカの姿が見えてくる。
著者等紹介
高橋悠治[タカハシユウジ]
1938年東京に生まれる。作曲家・ピアニスト。桐朋学園短期大学作曲家中退。柴田南雄、小倉朗、ヤニス・クセナキスに作曲を師事。ドイツを経てニューヨークに渡り、コンピュータによる作曲を研究、そのかたわら欧米各地で演奏活動を行う。1973年に一柳慧、柴田南雄、武満徹、林光、松平頼暁、湯浅譲二とともにグループ「トランソニック」を組織、季刊誌「トランソニック」を編集。1978年タイの抵抗歌を日本に紹介するために水牛楽団を結成し、月刊「水牛通信」を発行。現在はウェブサイト「水牛」内で執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
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15-100 36の断片の束 カフカはピアニスト高橋悠治をささえる影の思索者。著者が構成・作曲を手がけた舞台カフカノート書かれたスコア対訳台本、制作ノートを収録。ことばの向こうにカフカの姿が見えてくる。ノートⅡ 9 この都市にはいつまでもまだはじまらない朝がある、空はどこまでも、ほとんど晴れない灰色、通りはからで、清潔でしずか、どこかでゆっくりえごく観音開きの窓はしっかり留めていない、どこかで布の端がゆれる、最上階のバルコニーの手すりの上だ、どこかでわずかにはためく開いた窓のカーテン、他には何も動かない。2011/12/16