最底辺のポートフォリオ―1日2ドルで暮らすということ

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  • サイズ B6判/ページ数 315,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622076308
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C1033

出版社内容情報

1日に、手に入るのはたったの2ドル。それもいつ、手に入るのか分からない。世界の貧困層の金融生活を初めて具体的かつ実証的に紹介


バングラデシュの首都ダッカ。スラムに住むカデジャは子どもの世話をしながら、裁縫の内職で収入を得ている主婦。そして、近所の主婦ふたりから大事なお金を預かる〈マネーガード〉でもある。
インド南部ヴィジャヤワーダ。ジョティの生業は、毎日スラムをまわって、顧客の主婦から少額の預金を集めること。商売道具はマス目の書かれた手作りの通帳。220日分が埋まったとき、彼女はそのうちの20日分を顧客から手数料として徴収する。盗まれるかもしれない、夫に使われてしまうかもしれないお金を守り、子どもを学校に通わせてあげるための唯一の方法だ……。

最貧国の家計は、収入の「少額」「不定期」「予測不可能」という三重の困難に取り巻かれている。本書は〈ファイナンシャル・ダイアリー〉という聴き取り調査を、分厚く積み重ねた研究の成果であり、貧しい人々が編み出した創意工夫の数々をルポルタージュとも言える筆致で描きながら、マイクロファイナンスやインフォーマル金融の実態を分析する。さらに、「信頼性」「利便性」「柔軟性」「構造」という原則を提示して、貧困からの離陸のために金融になにができるのか、新たな道筋を示す。

内容説明

貧しさのなかで懸命に暮らす人々の日々のやりくりとは?経済学の最新成果が丹念に明かす、マイクロファイナンスなどの実態と、貧困削減への新たな処方箋。

目次

第1章 貧困者のポートフォリオ
第2章 骨の折れる日々
第3章 リスクに対処する
第4章 こつこつと積み上げる―まとまった資金を作る方法
第5章 お金の値段
第6章 マイクロファイナンス再考―グラミン2ダイアリー
第7章 よりよいポートフォリオへ

著者等紹介

モーダック,ジョナサン[モーダック,ジョナサン][Morduch,Jonathan]
ニューヨーク大学教授。低所得者への質の高い金融サービスの拡大を目指す経済学者の集合体であるファイナンシャル・アクセス・イニシアティブのマネージング・ディレクター

ラザフォード,スチュアート[ラザフォード,スチュアート][Rutherford,Stuart]
バングラデシュのマイクロファイナンス機関であるセーフセーブの創設者

コリンズ,ダリル[コリンズ,ダリル][Collins,Daryl]
元ケープタウン大学講師。現在はバンカブル・フロンティア・アソシエイツのシニアアシスタント。南アフリカでの直近のダイアリー調査を主導

ラトフェン,オーランダ[ラトフェン,オーランダ][Ruthven,Orlanda]
オクスフォード大学で国際開発のPhDを取得。英国国際開発省との調査コンサルタント業務の後、現在はインド在住

野上裕生[ノガミヒロキ]
1961年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所勤務

大川修二[オオカワシュウジ]
1961年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shikada

20
1日2ドル以下で暮らす東南アジアやアフリカの貧困層の実態に迫る一冊。収入こそ低いものの、貯蓄の意識がかなり強いのは意外だった。ただし彼らは、低収入・収入が不定期・金融ツールがない、という三重苦を背負っている。そのため短期的にカネ不足になることが多く、近所の貸し借りや、金遣いの荒い家族に浪費させないための「貯金クラブ」(≠銀行)が存在する。とにかく、まとまったお金がないことには不意の出費(家具の購入、治療や冠婚葬祭など)に対応できない。お金って、ある程度まとまった額がないとお金自体のコスパが落ちるんだな。2022/11/25

Kawai Hideki

14
バングラデシュ、インド、南アフリカの貧困家庭の家計簿の調査報告。平均すると1日2ドルの収入だが、実は、収入の波が激しく不安定なのが問題。失業時や結婚、葬儀、病気等のお金のかかるイベントを乗り越えるため、親戚、友人から無利子でお金を借りたり、高い利子で借金せざるを得ない。さながら落語の貧乏長屋の八つぁんだ。マイクロファンドは貧困家庭の課題の解決に貢献してはいるが、まだ家計に占める割合は少ない。ただでさえギリギリ生活なのに、家族が結核やヘロイン中毒になったり、事故で失業したりと、リスクに翻弄される家庭が多い。2013/09/06

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6
最底辺と聞いて想像する悲惨さや、すぐ使い切る偏見は違っていた。彼らは多くの金融手段を持っている。お金というものをよく理解し、貯蓄やローンをうまく使い、ときには人に貸し、日々の生活を営んでいる。自営業者が多く、収入が安定しない。何日も収入ゼロの日もあれば、収入が2ドルを超える日もある。突然の失業、賄賂を払って再就職しても解雇、近親の葬儀(南アでは葬儀で給料7か月分消える)などがあり、貧困から脱出することは難しく、それでも借り入れを駆使して日々の生活を営む。マイクロ・ファイナンスで保険や借金をする人もいる。2017/04/12

Sanchai

3
久しぶりに読み直したよ。第1章、第2章だけだけど…。インドの農村に関心を持っているような学生さんに紹介するにはとてもいい本だ。感想は、初読の際のブログでの紹介記事URLをご参照下さい。2020/11/28

Glitter

3
一日2ドルほどで暮らしている人たちが、どのような金融行動を取っているかまとめた本。 大規模な調査を行い、個別のケースを例に上げて解説しているのでわかりやすい。 お金を安全に保管できない、収入が不定期で安定しない、安定した雇用が無い、金融システムの信用度が低い。 上記のような理由でその資質があるにも関わらず、生活を向上させられない発展途上国の人々の現実が書かれている。2017/06/01

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