ロマン・ロラン伝―１８６６‐１９４４

デュシャトレ，ベルナール【著】〈Ｄｕｃｈａｔｅｌｅｔ，Ｂｅｒｎａｒｄ〉/村上 光彦【訳】

みすず書房（2011/12発売）

• サイズ A5判／ページ数 458,／高さ 22cm
• 商品コード 9784622076131
• NDC分類 950.28
• Cコード C0098

出版社内容情報

20世紀前半の芸術・思想・政治に多大な影響を与えたロマン・ロランとは誰だったのか。その生涯の全貌と現代的意味を探る決定的伝記

20世紀前半の芸術・思想・政治に多大な影響をあたえたロマン・ロランとは誰だったのか。ソヴィエトとの関係などその生涯を詳細に追い、ロランの歴史的制約と現代的意味を問う、最も信頼に足る伝記。

内容説明

２０世紀前半の文学・芸術・思想・政治に多大な影響を与えたロマン・ロランとは誰だったのか。本書は、ロラン研究の第一人者が未公刊の日記・書簡・資料も用いて書きあげ、従来の認識を一新させた画期的評伝である。２００２年度のピエール‐ジョルジュ・カステックス賞（フランス学士院倫理・政治学アカデミーの文学賞）を受賞。

目次

第１章　自己をわがものに―一八六六‐一八九二年
第２章　試練―一八九二‐一九〇一年
第３章　新生―一九〇一‐一九一四年
第４章　“戦いを超えて”―一九一四‐一九一九年
第５章　“精神の独立”―一九一九‐一九二六年
第６章　“精神は列中に戻らなくてはならない”―一九二七‐一九三七年
第７章　ヴェズレー―一九三七‐一九四四年

著者等紹介

デュシャトレ，ベルナール［デュシャトレ，ベルナール］［Ｄｕｃｈａｔｅｌｅｔ，Ｂｅｒｎａｒｄ］
ブレスト大学名誉教授。同大学で１９６８年から１９９５年まで１９世紀、２０世紀フランス文学を教えた。１９８３年、文学部内に「２０世紀小説研究センター」を創設し１９９２年までセンター長。また１９８７年から１９９５年までは「１９‐２０世紀書簡研究センター」（フランス国立科学研究センターの一部門）を率いた。著書『ロマン・ロラン伝』で２００２年度のピエール‐ジョルジュ・カステックス賞（フランス学士院倫理・政治学アカデミーの文学賞）を受賞した

村上光彦［ムラカミミツヒコ］
１９２９年佐世保に生まれる。１９５３年東京大学文学部仏文学科卒業。成蹊大学名誉教授。大佛二郎研究会会長（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[酒井一途]

二段組五百ページに及ぶ大著。ロランの生まれから死までを、著者の主観はほぼ入れずにロランの未公開日記などの私的な文章を丹念に追うことで、限りなくあるがままのロマン・ロランその人の姿を映し出している。翻訳にパワーがないのが一点残念／自らの内に抱えた行動と思考との矛盾を認めつつ、それでも生涯闘いつづけたロマン・ロラン。晩年には政治的過ちも犯したが、それも彼の誠実さが悪意によって利用されたことによる。そのことに気付けなかった罪は指摘されど、しかし彼は創作するだけでなく現実に行動を起こした人間なのである。

2012/06/20

[荒野の狼]

前半は、生い立ち、世に認められない苦労から、ジャン・クリストフの成功とノーベル賞受賞、第一次世界大戦前後の、祖国をはじめ各方面からの四面楚歌に、精神的に苦悩を受けた時代の話。祖国の親友にまで裏切られ、苦悩していた姿は共感を呼ぶ。内容が、一転するのは、後半。ここでは、ナチの占領下のスイスで、ドイツの占領軍にジャンクリストフの読者が多く、ロランが尊敬をもって厚遇された話は感動的。ロランがロシア革命から共産党を支持していくくだりでは、ロランの書いた文章からの引用は少なく、作者の個人的なロランに対する非難。

2015/03/06