内容説明
キスがうまいかどうか、どうしたらわかる?両親の離婚や妊娠・高校中退、ドラッグでの兄の破滅に母親の癌など、二人の少女の挫折と成長を描く連作短篇集。
著者等紹介
ホフマン,アリス[ホフマン,アリス][Hoffman,Alice]
1952年ニューヨーク市に生まれ、ロング・アイランドで育つ。スタンフォード大学大学院で創作を学び文学修士号を取得、出版社勤務ののち、小説を書き始める。ヤング・アダルトや子ども向けの本も書き、映画の脚本も手がけている。多くの作品がベストセラーとなり、現在アメリカを代表する女性作家のひとりである。1999年に自らが治療をうけたマサチュセッツ州ケンブリッジのマウント・オーバン病院に「ホフマン乳がんセンター」を設立
北條文緒[ホウジョウフミオ]
1935年東京に生まれる。東京女子大学文学部英米文学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。東京女子大学名誉教授。イギリス小説専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
78
子供の頃はあまりにも辛くて生きていくのも耐えられない事でも、大人になって振り返るとかつての自分の幼さへの苦さと懐かしさも合わせてちょっとした笑い話になる事がある。過去をほろ苦く、振り返り、今を見据える連作短篇集。美少女だったジルは郊外に残り、平凡な主婦になり、賢いグレーテルは傍から見ても散々な目に遭いながらも依存するしかなかった柵がなくなり、自立していく。万事塞翁が馬。特にジルの復讐を手伝う時にグレーテルが見たデニスン夫人の赤い薔薇とローラと泣き合って失恋するしかないと確信してしまう場面が印象的。2017/09/09
ぱせり
9
こんな状況で、なぜ生きていけるのか、と思うほどだけれど、物語はちっともウェットじゃない。不思議に乾いています。そして、そこはかとないユーモアがある。しみるような薫りもある。各短編の読後感は清涼です。最後の『ローカル・ガールズ』で、ふいに彼女たちは少女期を抜けたのだ、と気づく。辛い少女時代だったはずなのに、なんだか名残惜しい。2011/01/05
sai
5
両親の離婚で始まり、兄の変貌と惨めな死に方、母のガンでの死別、美しい友人ジルの幼い妊娠と高校中退、結婚。怒涛のような不幸に流されそうになりながら母の従姉妹マーコヴのささえで踏みとどまった末、自分が楽に呼吸できる世界に昇って行った少女の成長が健気。文体はさらりとし、ウエットな心理描写は最小。からりとしている。自分の不幸を客観的に眺めてさえいるよう。場面が積み重なる形で織りなす心情。お涙頂戴タイプではない。「本屋さんのダイアナ」ダブルヒロイン構想のヒントの一冊だったのかな。柚木麻子さんの読書遍歴を彩る図書?2014/08/20
クサナギ 「読んでる本」=「バイブル本」
4
なんだか目が離せない少女たちでした。2014/08/19
サラ.K
4
淡々としていながら印象深い。シーンのひとつひとつが映像として頭に浮かびあがってくる。本の裏のあらすじは、あまりにもはっきりと書きすぎてこの本の良さを殺してしまっている。もっと曖昧であやふやな靄のようなものがかかった風景だ。あと、訳で「~でしょう」という言葉の多用が気になった。2012/01/11