内容説明
イギリス実力派作家による料理エッセイ。レシピは書物、仕事は慎重、そして調味料はウイット。すべての厨房男子とそのパートナーに捧ぐ、面白くて役に立つ本。
目次
晩学の料理人
警告「文士調理中」
中くらいの玉葱を二個
料理本は定石どおりに
十分で料理の達人
そんなことできるかい
サボテンとスリッパ
歯の妖精
いいもの
しかめっ面でサービス
一度でじゅうぶん
そんなこと言われても
シンプル
紫に染めて
ディナー・パーティじゃないよ
いちばん下の引き出し
すべては教訓
著者等紹介
バーンズ,ジュリアン[バーンズ,ジュリアン][Barnes,Julian]
1946年、英国レスター生まれ。作家。オクスフォード英語辞典の編集員、文芸評論家、映画評論家などを経て、小説家になった。『フロベールの鸚鵡』『イングランド・イングランド』『アーサー&ジョージ』で三回もブッカー賞候補になっている
堤けいこ[ツツミケイコ]
京都生まれ。翻訳家・文筆家。ロンドン大学ゴールドスミス校大学院視覚芸術学部修士課程修了。1988年から2005年にかけて三回英国に渡り、通算11年にわたってロンドンで暮らす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きりぱい
13
料理なんてやらなければ出来ないものとはいえ、やっぱりセンスというものはあるのだろうなあ。料理本のかいつまんだ説明でも、ある程度料理が出来る人なら何でもないことが、初心者やセンスに欠けた人にとっては混乱の種になる。誰かに聞けばわかったのに、確かめれば防げたのに、はあとの話。そんな失敗談やなかばいちゃもんが笑わせる。話題に挙がる名前はヴィクトリア朝のビートン夫人から現代のジェイミー・オリバーまで、厨房男子が珍しくない今、厨房文士ならではの料理本指南も面白い。意気消沈目安で励ましてくれるポミアーヌが気になる。2010/07/26
ぱせり
12
文学が精神の健康にかかわることなら、料理もまたそうなのだ、ということ。くすくす笑いながらも、わりとまじめに学んでしまったかも。古今東西の料理本の奇奇怪怪に関する話はどれもおもしろかったです。続はないかしらねえ。ところで、この本に出てきた様々な料理・食材名、味どころか、形も思い描けないものが多かったけど、英国では普通の家庭料理なのか?2010/12/18
ロピケ
8
何回か作った事のある料理でも、本を開いてからでないと始められないあたり、著者と意気投合。どの章を取ってもユーモアたっぷりで面白い。下の子が「幼稚園のお友達が抜けた歯(乳歯)を枕元に置くと、朝起きた時50円玉に変わってるんだって!」と言うのがチンプンカンプンだったけれど、この本を読んで疑問が氷解した。ジビエの話も爆笑もの。カズオ・イシグロの「?」な部分とかも想像すると可笑しい。ぜーんぶ読み終わって、ふと著者略歴の文を読んでしんみりした。2010/09/13
きゅー
6
ジュリアン・バーンズによる料理エッセイ。料理エッセイというよりも料理本についてのエッセイと言ったほうが正しいかもしれない。私のように世の素人料理人であれば、大きく頷ける内容がたっぷりだ。「中くらいのじゃがいも一つ」と書かれていた時、その「中くらい」は具体的にどれだけの大きさなのか彼も、私も悩む。種類によっても違うはずだ。しかし彼の悩み方は尋常じゃない。ボヴァリー夫人の瞳の色が何色だったかに拘泥するように料理本を解釈の俎上に乗せようとする。まさに彼らしい一冊となっており、料理初心者にとっても納得の一冊。2013/02/01
ハルト
6
英国人らしいウィットに富んだ料理エッセイ。思うことは、男女差、国を越えて一緒なんだと、にやりとしてしまう。レシピ本とか器具とか、たぶん料理を作ったことのある人なら、一度は体験したことあるはず。この本のおかげで、また一冊、トレード候補になりそうな本を、そっと棚に戻すことができました(笑)感謝感謝。2010/07/07