目次
戦前・戦中篇―1930‐1945(トルストイとの出会い;トルストイに導かれた読書の世界;軍国主義への怒りと嘆き;わが戦争との戦争;狼たちの愚行を見つめて;公然たる批判と理解者たち;敗戦前夜の闇の中で)
戦後篇―1945‐1983(憲法に思い邪なかるべし;原卓也氏との「誤訳論争」のこと;豊かなる実りの日日に;軍拡の道、訳業の道;戦争、暴力、そして信仰;反戦と非暴力の泉に汲む)
著者等紹介
北御門二郎[キタミカドジロウ]
1913‐2004。熊本県湯前町のギリシャ正教の家に生まれる。1933年東京大学英文科入学。1936年、大学在籍のまま満州に渡り白系ロシア人にロシア語を学ぶ。1938年に徴兵されるも、トルストイの絶対平和主義を貫き兵役を拒否(その後、兵役免除)。同年大学を中退し、熊本県水上村にて就農生活に入る。1950年代からトルストイ作品の翻訳に本格的に着手、第16回日本翻訳文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Gotoran
34
ギリシャ正教の家に生まれ旧制高校生の時にトルストイの『イワンの馬鹿』に出会い、絶対平和の思想に魅入り、トルストイを介して聖書の理解を深めていったという北御門氏。その稀有な半生を綴った本書。徴兵拒否で死を覚悟しつつも、心揺れ動き苦悶する若き著者、妥協を許さない翻訳家としての翻訳誤訳論争、反戦・非暴力活動等々が記述される。興味深々で惹き込まれた。殺し合わない世界の希求とは、平時/戦時問わず、たとえ殺されてもいいから決して殺すなということ、時と場合によっては殺してもいいということではない。とかく報復主義が↓2014/04/28
yori
7
★★★★☆ あの時代に徴兵拒否するというのはものすごい事だよなと思う。殺される覚悟が居るし、家族の事を思うと。。いったん拒否してしまってからは案外普通に暮らせた様な雰囲気で意外でした。誰の事も殺したくないです。それが何人でも。。。2014/08/31
ご〜ちゃん
0
青年時代にめぐり逢ったトルストイの作品に影響を受け、自分の生き方を貫いた北御門二郎さん。他の訳者でトルストイの作品を読んだ事はほとんどないが、北御門さんの翻訳でなら読んでみようと思った。信念をつらぬき行動する事について深く考えさせられた。2013/06/03