出版社内容情報
1989年11月9日、ベルリンの壁が崩壊。それからドイツ統一までの329日は、疾風怒濤の合併劇だった。
ガートン・アッシュは、旧西ドイツの政治家たちが、悲願の統一を目指していかに奮闘したか、そして誰もが諦めたころに、どうして統一に成功したかを描く。
歴史の原動力となったのは、1969年に西独首相ブラントの打ち出した「東方政策(オストポリティーク)」だった。主眼は、それまでの西側一辺倒をやめて大陸全域を見渡し、まず東西ヨーロッパの分断解消を優先すること、そしてその枠内でドイツ統一を実現することにあった。こうしてNATO、ソ連、東欧諸国、東ドイツのすべての面子を立てる「綱渡り」外交が始まる。それは政権交替後も継承され、「オストポリティーク」はドイツ語のまま世界に認知された。
著者は東欧と中欧を知り尽くした歴史家=ジャーナリストの第一人者で、オクスフォード大学教授。7年かけて旧東独の機密文書をはじめ膨大な資料を読み、ブラント、コール、ゲンシャーからシェワルナゼ(モスクワ)、ホーネッカー(収監中)、キッシンジャーにまでインタビューしている。
語られるのは「東方政策」の展開の全容。コールとゴルバチョフの頂上会談の内容、西ドイツから東ドイツへ支払われた巨額の政治犯引渡し代金や、「陸の孤島」西ベルリンへの通行税、ポーランドの「連帯」への西独政府の対応と東欧少数民族の反応まで、綿密な調査に支えられたディテールが迫力に満ちている。
英語、ドイツ語、オランダ語で同時刊行され、各国で高い評価を得た傑作。全2巻。
内容説明
1989年、時の勢いに乗ってベルリンの壁が崩壊。しかしその陰に、四半世紀におよぶ旧西ドイツの透徹した外交努力があった。ブラントの東方政策と東西両陣営の確執を描くル・カレ絶賛の歴史書。
目次
プロローグ 全ヨーロッパの課題(何が真の課題なのか;ヤルタ ほか)
1 ドイツの解答(分断の中心;ヨーロッパ平和秩序 ほか)
2 東方政策(オストポリティーク)(東方政策は「ひとつ」だったのか;ひとつの単語をめぐって ほか)
3 ボン=モスクワ=ベルリン(「われわれの最重要課題」;道はベルリンから ほか)
4 ドイツとドイツ(基礎条件;思想、ことば、行動 ほか)
著者等紹介
アッシュ,ティモシー・ガートン[アッシュ,ティモシーガートン][Ash,Timothy Garton]
1955年英国生まれ。オクスフォード大学で近現代史、とくにヒトラー政権にたいするレジスタンスについて学ぶ。冷戦下の両ドイツに滞在し、ベルリン自由大学、フンボルト大学で研究。1990年よりオクスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジで教鞭をとるほか、現在はスタンフォード大学フーバー研究所上級研究員も務める。中欧・東欧情勢などに関してしばしば新聞・雑誌に執筆
杉浦茂樹[スギウラシゲキ]
1959年東京生まれ。慶応大学文学研究科修士課程修了。翻訳者。『ニューズウィーク日本版』『ナショナル・ジオグラフィック日本版』の翻訳・編集に創刊時から携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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