内容説明
本書はナノテクノロジー・ブームを焚きつけた大言壮語含みのナノテク評(ナノ・ハイプ)と、その裏にある利害関係者それぞれの事情に光をあてる。上巻では、テクノロジーの夢物語があらゆるメディアで語られるナノ・ハイプの様相を俯瞰する。やがて産・官・学の諸機関もこぞって未来に投資しはじめ、その資金の周りにさらに多くの利害関係者が生まれ、騒ぎを煽る流れが描かれる。ハイプの象徴となったE.ドレクスラー氏をいったん迎え入れた科学界が、のちに彼の処遇に窮する様子は教訓的だ。ハイプは推進派にとっても諸刃の剣なのである。また政府のイニシアティブとそれを可能にしたキーパーソンらの言動を追い、アメリカが国策としてテクノロジーを進めるプロセスが具体的に示される。全2巻。
目次
第1章 誇大表現、誇張、ハイプの狂乱(可変要素としての誇張;誇張とグー;結論)
第2章 ナノテクノロジーに関する憶測と批判(支持者;批判者;結論)
第3章 ナノテクノロジーにおける政府関係者(個人;政府系科学振興団体;行政府;結論)
第4章 ナノテクノロジーにおける政府のイニシアティブ(イニシアティブと情報操作;国際的な関係者;結論)
第5章 ナノテクノロジーを宣伝するための報告書(アメリカ;イギリス;EU(欧州連合)
企業関連の利害関係者
結論)
第6章 ナノサイエンスの応用(計器および装置;製造および材料;農業および食物生産;エレクトロニクスおよびコンピューティング;ヘルスケア;エネルギー;贅沢品;結論)
著者等紹介
ベルーベ,デイヴィッド・M.[ベルーベ,デイヴィッドM.][Berube,David M.]
ニューヨーク大学でコミュニケーション学を修め、1990年に博士号を取得したのち、バーモント大学教授などを経て、1990年にサウスカロライナ大学教授(コミュニケーション学)に着任。英語学科でディベート理論、スピーチ教育に携わっていたが、科学技術のレトリックの研究に足場を移し、サウスカロライナ大学ナノ・センター(USC NanoCenter)のナノ倫理部門長に就任。米国環境保護庁(EPA)有害物質汚染防止局(OPPT)の諮問委員会委員、国際ナノテクノロジー協議会委員などを務めた。2008年から現在、ノースカロライナ州立大学教授。ナノSTSおよび科学技術のパブリック・コミュニケーションに関して研究執筆を続けている。新聞に寄稿するジャーナリストとしての顔ももつ
五島綾子[ゴトウアヤコ]
科学技術著述家(元静岡県立大学経営情報学部教授、薬博・理博)。現在、ナノテクノロジーを中心に科学技術と社会の相互作用について研究を進めている。著書に『ブレークスルーの科学』(日経BP社、2007、パピルス賞受賞)など
熊井ひろ美[クマイヒロミ]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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