内容説明
私たちはなぜ、ときに合理的な思考に背くのか。認知心理学、行動経済学、進化心理学といった分野は、ヒトならではの思考の仕組みを探り、驚きと示唆に満ちた成果を上げてきた。本書はその収穫をもとに、進化的に獲得した思考パターンと個人としての分析的思考の葛藤のモデルを論じ、現代人にとっての落とし穴を考える。認知心理学や行動経済学の研究は、ヒトの意思決定の非合理性を実証的に暴いてきた。「利己的な遺伝子」の概念はその解釈に新たなひねりを加え、進化心理学は、一見非合理な心理機能も進化の観点から適応的意義をもつ可能性を指摘した。さらに、それらの成果を「二重過程モデル」を用いて二元的に解釈する試みも蓄積している。本書はそれらの幅広い議論を見て回り、それぞれの視点の違いをも浮かび上がらせる。
目次
第1章 ダーウィニズムの深淵を見つめる
第2章 みずからと戦う脳
第3章 ロボットの秘密の武器―合理性について
第4章 認知心理実験でみる、自律的脳のバイアス―ときに私たちを悩ませるショートリーシュ型の心の特徴
第5章 進化心理学はどのように道を誤ったか
第6章 合理性障害―これほど多くの賢い人たちが、これほど多くの愚かなことをするのは、なぜか
第7章 遺伝子のくびきからミームのくびきへ
第8章 謎のない魂―「ダーウィン」時代にヒトたる意義を見出す
著者等紹介
スタノヴィッチ,キース・E.[スタノヴィッチ,キースE.][Stanovich,Keith E.]
トロント大学発達・応用心理学部門の応用認知科学部長。発達・教育心理学、特に言語学習障害、読み書き障害に関する長年の認知科学的研究で優れた業績を認められている。教育におけるマタイ効果に関する論文も注目されたが、さらに近年は、いわゆる知能テストでは計れない合理的思考能力の評価指標の重要性を訴え、その認知心理学的研究に力を入れている
椋田直子[ムクダナオコ]
翻訳者
鈴木宏昭[スズキヒロアキ]
青山学院大学文学部教授。専門は認知科学(思考、学習)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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