内容説明
カリブ海はトリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインの東に、スラム街ラヴェンティルはある。流れてきたごろつきども、哀しくもたくましい女たちがごった煮のように暮らす場所。ヤードに流れるカリプソのメロディー、そしてスティールパンの響き。定職ももたず、ひとりの部屋で、オルドリックは年に一度のカーニヴァルで自身が纒う壮麗なドラゴンの衣装をつくって一年のほかの日を過ごしている。ドラゴンにデビル、先住民、奴隷、アフリカの神々や伝説の英雄たち…祝祭の日にマスカレードのキャラクターを演じることは、それらを思い出すこと、伝えること、魂を吹き込むこと、そして、その力を自分たちのものにすること。祖先から受け継がれてきた奴隷制時代の記憶が呼びさまされる。自分たちのルーツを解釈し再演し、抵抗の声をあげよ!ところが、最近なにかが違う。外国資本の大企業に飼い慣らされたスティールバンド、抵抗の精神という根を引っこ抜かれたカーニヴァル!?オルドリックとスラムのボス、フィッシュアイの破滅的な抵抗が始まる。そして、17歳のシルヴィアとのせつない繋がり…。“語りの天才”ラヴレイスの、スピードとリズムに溢れた代表作。
著者等紹介
ラヴレイス,アール[ラヴレイス,アール][Lovelace,Earl]
1935~。トリニダード・トバゴ共和国の作家。トリニダード島のトコに生まれ、幼少期をトバゴ島の祖父母の家で過ごす。高校卒業後『トリニダード・ガーディアン』の校正係や森林監視人などの仕事を経たのち1964年にWhile Gods Are Falling(BP独立記念文学賞)でデビュー、以来カリブ海を代表する作家のひとりとして小説や戯曲等を発表。1966‐67年ワシントンのハワード大学に学び、1974年にジョンズ・ホプキンズ大学で修士号取得。アイオワ大学などいくつかのアメリカ合衆国の大学や西インド諸島大学トリニダード校で教鞭もとる。現在にいたるまでトリニダード・トバゴで執筆活動を続けている。著書にSalt(1996、コモンウェルス作家賞)など
中村和恵[ナカムラカズエ]
1966年生まれ。東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程中退。現在、明治大学准教授。英語圏および近現代日本の比較文学・比較文化研究。詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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秋 眉雄
きゅー
yearning for peace
susu
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