ガヴァネス―ヴィクトリア時代の「余った女」たち

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622073352
  • NDC分類 367.233
  • Cコード C1098

内容説明

19世紀英国に大量出現した未婚女性が、唯一の活路とした住み込みの家庭教師。その実像を歴史と文学の両面から探る。英文学、英国史の基本図書。

目次

第1部 現実のガヴァネスたち(ガヴァネス普及の背景;ガヴァネスの口を求む;何をどう教えたのか;気の毒な先生;ガヴァネス問題への対策;海外の王室付きガヴァネスの一例―アンナ・リーノウェンズの場合)
第2部 小説の中のガヴァネスたち(レディ・ピカロ―クララ・モーダント(レディ・ブレッシントン『ガヴァネス』(一八三九))
危険な女―ベッキー・シャープ(W・M・サッカレー『虚栄の市』(一八四七‐四八))
反逆する女―ジェイン・エア(シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』(一八四七))
道徳的優位者―アグネス・グレイ(アン・ブロンテ『アグネス・グレイ』(一八四七))
身をあやまった女―レディ・イザベル(ミセス・ヘンリー・ウッド『イースト・リン』(一八六一))
外面は天使、内面は悪魔―ルーシー・グレアム(メアリー・エリザベス。ブラッドン『オードリー卿夫人の秘密』(一八六二))
真実の女―ルーシー・モリス(アントニー・トロロウプ『ユーステス家のダイアモンド』(一八七三))
幽霊を見たガヴァネス(ヘンリー・ジェイムズ『ねじのひねり』(一八九八))

著者等紹介

川本静子[カワモトシズコ]
1956年津田塾大学英文科卒業。1958年東京大学大学院修士課程修了。1962‐63年ハーヴァード大学大学院留学。津田塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりお

41
ヴィクトリア朝の「余った女達」、ガヴァネス。女性達の自立が始まっていく時代に生れたて職業。賃金は安く、植民地に送られるという流刑に近い扱いをされる。それであって求められるのは質の高い学習。とんでもない扱いだが、女性にも学びが必要とする考えが徐々に広まったのも事実。女性達の自立が一歩進んだ職業であった。2018/04/30

Miki

7
ヴィクトリア朝の女性のお仕事探訪。『虚栄の市』研究材料2016/12/10

ととろ

3
陸秋槎『森とユートピア』の参考文献から。ガヴァネス自体は「住み込みの女家庭教師」という職業を指す言葉に過ぎないが、ガヴァネス全盛の19世紀半ばの英国においては、夫を見つけられなかった中産階級の<余った女>が経済的自立を図る唯一の職業であった。彼女らは就労先では浮いた存在であり、かつ低賃金であったとされる。これは彼女らが結婚を前提に育てられたにもかかわらず、やむを得ず働かざるを得ない状況に迫られたうえ、職業としては供給過剰であったことに起因する。現代日本の高学歴ワーキングプアに通ずるものを感じながら読んだ。2021/06/17

Mana

3
レディとして女性が働いても恥ではなかった唯一の職業について、社会でのその実態や雇う側、働く側の意識の差などを色々と分析している。この人の本はちょっと退屈といったイメージがあったんだけど、この本はなかなか面白かった。後半ではガヴァネスをヒロインにした小説を解説していて、虚栄の市とジェイン・エアが面白かった。特にジェイン・エアはちょっとご都合主義なイメージだったんだけど、それを補って余りある主人公の強烈さと魅力について深く納得でした。2012/08/26

j1296118

2
レディが就いてもリスペクタブルである唯一の仕事、とされながら駄馬にも劣るとさえ小説に書かれてしまう<余った女性>、ヴィクトリア朝時代のガヴァネス。給金は家事使用人より高いとは言えず、教育以外の仕事も押し付けられ、曖昧な地位から敬意待遇親交にも多くは不自由していたという。  海外の王室でガヴァネスを務めた一例アンナの所で『この時点でシャム王の子供は67人、王が亡くなった時には81人。幾つかのグループに分かれ、最初に連れて来られた王子王女は21人』に吹き出した2015/02/11

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