ラヴェル

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  • サイズ A5判/ページ数 125p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622073321
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

「ボレロ」の作曲家モーリス・ラヴェルの晩年を生き生きと描く、まるで音楽みたいな小説。モーリアック賞に輝く最新作。

著者等紹介

エシュノーズ,ジャン[エシュノーズ,ジャン][Echenoz,Jean]
1947年生まれ。フランス現代文学を牽引する作家。著書に『チェロキー』(1983、メディシス賞、邦訳、白水社、1994)、『ぼくは行くよ』(1999、ゴンクール賞、邦訳、集英社、2002)など

関口涼子[セキグチリョウコ]
1970年生まれ。日本語とフランス語で著作活動を行なう詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Book & Travel

42
作曲家ラヴェルの晩年の10年を描いた小説。かなり独特な文体は幻想的というか夢の中にいるようで、代表作『ボレロ』のようだと言われるとそうとも感じられる。晩年は脳の病気で苦しんだことは何かで読んで知っていたが、シニカルで複雑な性格の偉大な作曲家が、記憶と生きる能力を失っていく様子は哀しい。『ソナチネ』や『亡き王女のためのパヴァーヌ』など彼の曲の美しいメロディを聞きながら読んでいると、哀しさが更に際立つ感じがした。芸術家の鋭い感性は日常生活の生きやすさを犠牲にした上で芸術を作り出しているように感じられた。2019/12/03

長谷川透

23
身長が約160cmと、西洋人としてはかなり小柄な男性であったラヴェル。作曲家として数々の貢献を果たし、彼の名声と人気は西洋を圧巻し、大西洋を渡ってアメリカにまで至る。小さな体躯と対照的に、彼の像は肥大化していき、ラヴェル自らも、自らの像を肥大化させていっているように感じた。ラヴェルの小さな肉体と巨大な像の二重の旋律が、この小説のテクストには詩的に奔っているように思う。肥大化した像が破裂するが如く最後には脳の病で逝ったラヴェルの姿は、悲惨というよりも、天才の末路としては極めて相応しい最期のようにも思った。2012/12/04

Yui.M

17
『亡き王女のためのパヴァーヌ』に出会い『水の戯れ』を知り面食らっていたところ『ボレロ』の作曲家だとわかった。名まえを口にされる前にその作品を口ずさまれるという事態は作曲家にとってうれしいことなのかそうでないのかわからないが、名作曲家であることには変わらないだろう。訳者あとがきにおいて、この小説の文体や時制、固有名詞の効果などについて語られている。三人称の語りに現在形、自由間接話法、この2つを同時に採用するのはフランス文学においては珍しいとのこと、勉強になる。ラヴェルは常に不眠症に悩まされていたらしい。2021/11/03

Roy

16
★★★★+ ラヴェルの「ボレロ」というとフィギュアスケートを連想し、一昨年の村主章枝のSPを思い出す。その時のコーチはまだ佐藤信夫で、あのボレロの静かでいながらも荘厳な出だしに不釣り合いな村主の奇怪な振り付けに笑い、何度もビデオを再生した記憶が残っている。この小説も同様にユーモラスで、音楽でいう所のスタッカートが効いている。だから単調で無いリズミカルな歯切れの良さを生み、この本のアクセントとなる。2009/05/29

S.Mori

15
『ボレロ』で有名な作曲家ラヴェルの晩年を描いた小説です。非常に読みやすく、物語がテンポよく進んでいくのですが、はっとするような洞察や美しい表現があちらこちらに散りばめられた素晴らしい小説でした。エシュノーズの書き方は独特です。重たく悲しくなりそうな部分でも控えめに苦いユーモアを交えて描いていくので、都会的で洗練された味わいがあります。病気に苦しんだラヴェルの最期は幸せなものではありません。それでも死ぬ時まで芸術家であることをやめないこの作曲家の姿を、作者は尊敬をこめて描き出しています。2019/11/23

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