史上最悪のインフルエンザ―忘れられたパンデミック

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  • サイズ A5判/ページ数 420,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622070818
  • NDC分類 493.87
  • Cコード C0047

内容説明

少なく見積もっても2500万人以上の死者を出したといわれる、1918‐1919年のインフルエンザ(通称「スペインかぜ」)。本書は社会・政治・医学史にまたがるこの史上最大規模の疫禍の全貌を初めて明らかにした感染症学・疫病史研究の必読書であり、アメリカでは1976年から現在まで版を重ね続けている。この中で著者は、世界情勢と流行拡大の関連のようなマクロな事象から一兵卒の病床の様子まで、当時の記録を丹念に掘り起こす。特に大都市での流行(第六章、第七章に詳説)が「グランギニョール的カオス」に至る様は、読者のこの病への畏怖を新たにさせずにはいられない。しかしインフルエンザの真の恐ろしさは、罹患者数の莫大さによって実はけっして少なくない死者数が覆い隠され、「みんなが罹り誰も死なない」病として軽んじられることにあると著者は警告する。もしウイルスが例年以上に感染力や毒性の激烈なものへと悪性化したら?実際、インフルエンザのパンデミック(汎世界的大流行)は大震災に似て、人類の歴史上数十年の間隔を置いて繰り返しているという。来るべきパンデミックに備え、改めて史上最悪のインフルエンザの記憶をたどり、社会あるいは個人レベルの危機管理の問題点を洗い直すために本書は欠かせない。

目次

第1部 スパニッシュ・インフルエンザ序論(大いなる影)
第2部 スパニッシュ・インフルエンザ第一波―1918年春・夏(インフルエンザウイルスの進撃;3か所同時感染爆発―アフリカ、ヨーロッパ、そしてアメリカ)
第3部 第二波および第三波(注目しはじめたアメリカ;スパニッシュ・インフルエンザ、合衆国全土を席巻 ほか)
第4部 測定、研究、結論、そして混乱(統計、定義、憶測;サモアとアラスカ ほか)
第5部 結び(人の記憶というもの―その奇妙さについて)

著者等紹介

クロスビー,アルフレッド・W.[クロスビー,アルフレッドW.][Crosby,Alfred W.]
1931年、ボストンに生まれる。1961年にボストン大学にて博士号取得。ワシントン州立大学、テキサス大学をはじめ、イェール大学、ハワイ大学、フィンランドのヘルシンキ大学などで教鞭を執りつつ、研究に従事。テキサス大学教授退官後の現在も精力的に研究・執筆活動を続けている。専門はアメリカ史、地政学、生態学的歴史学。『史上最悪のインフルエンザ―忘れられたパンデミック』により1976年にMedical Writers’ Association Award for Best Book on a Medical Subject for Laymenを受賞。Ecological Imperialismにより1988年にRalph Waldo Emerson Prize Phi Beta Kappaを受賞

西村秀一[ニシムラヒデカズ]
1955年山形県に生まれる。1984年山形大学医学部医学科卒業。医学博士。山形大学医学部細菌学教室助手を経て1994年4月から米国National Research Councilのフェローとして、米国ジョージア州アトランタにあるCenters for Disease Control and Prevention(CDC)のインフルエンザ部門に留学、その後同部門の客員研究員。1996年12月に帰国後、国立感染症研究所ウイルス一部主任研究官を経て、2000年4月より国立仙台病院臨床研究部病因研究室長・ウイルスセンター長。専門は呼吸器系ウイルス感染症、とくにインフルエンザ
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ああああ

4
この感染症に関する代表的著作である。世界中で4000万人が死亡したともいわれる未曾有の感染症にしてはそのことを書き留めたものが不思議なほど少ないとして、その「忘れ去られた」理由について論考している。なぜだか他の感染症に比べ(実数として)多くの死者を出し、かつ身近で多くのひとが感染するインフルエンザへの「恐れ」が、たとえばエボラ出血熱や狂犬病といった我が身に降りかかるおそれの少ない感染症への「恐れ」 より不当に低い。本書(日本語版)への序文に寺田寅彦の有名な一節を挙げているが、なんとも意義深い。2008/03/02

YukoNexus6

3
日本では「スペイン風邪」と俗称される1918-19(日本では1920年まで?)のインフルエンザ・パンデミックについて1970年代に書かれた研究書。主にアメリカと、第一次対戦で派兵されていたヨーロッパについての事例が多い。で、ゾっとするほど新型コロナの現在に通じている。戦争と疫病、速度、死、いまも昔も変わらない医療従事者の困難。内田百閒の「サラサーテの盤」でも「ダウントン・アビー」でも、あっけなくスペイン風邪で死ぬ女性が出てきたな。歴史に学ぶ&現状を相対化して、少しでも冷静になれる気がする良書。2020/04/17

tkm66

3
100年前の<スペイン風邪=インフルエンザ>の記録。次々と倒れていくウクライナの村の教会で祈りを捧げてキスする、そのイコン(聖画)がまさか菌の媒介であろうとは何たる事か・・。2005/05/23

tan_keikei

3
1918年から1919年にかけて多くの死者を出したインフルエンザ・パンデミックである、スペイン風邪について書かれた本です。第一次世界大戦を背景に、パンデミックがアメリカ全土で野火のごとくひろがり、やがて大山火事と化していくさまが活写され、時を隔てた今読んでいても恐ろしくなります。原著は1976年に出版されたものなので科学的見地からは多少古い箇所があるかもしれませんが、視点をさまざまに変えつつパンデミック下における社会生活の混乱やパニックを歴史的に描き切った価値は高く、その価値は今後も揺るがないであろう名著2013/07/01

takao

2
ふむ2020/11/06

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