出版社内容情報
なぜガンディーによって、なぜ1918年に、なぜインドにおいて、「真理」(サティヤーグラハ)の実現が可能であったか。アーメダバードの紡績工場ストライキ事件にかかわるガンディーについての、著者のアプローチは、「青年ルター」研究につづいて、非暴力行動主義の研究として結実した。
「私の著作は、今日、心理=歴史的アプローチと呼ばれるものの一つの試みであり、それは、フロイトが行なった人間の心の探求において基本的なケース・ヒストリーの方法と、伝記および歴史の方法とを橋渡しするのに役立つ。……この研究を通じて私は、東洋と西洋における哲学的態度が相補的に正反対になっているのに気づいた。私は、祈りとともにあったインド人の、非暴力的行動主義へと向かう性向を大規模に研究していくうちに、かのウィーンの医者の治療法が人間の内的生活に対する非暴力的アプローチを宿しているのに気づいた。」
著者エリクソンの内部革命の書となったものであり、彼の著名な「アイデンティティ」理論は、本書でさらに洗練を加え、深化した。全2巻。
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Erik H.Erikson(エリク・H・エリクソン)
1902年ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M.ミード、G.ベイトソン、R.ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946-50年にかけ『幼児期と社会』1、2(みすず書房、1977、1980)を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950-60年、オースチン・リッグス・センターの主任医師として活躍した。1958年『青年ルター』1、2(みすず書房)によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960-70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問。主著はほかに『洞察と責任』(1964、誠信書房、1971)『アイデンティティ――青年と危機』(1968、金沢文庫、1973)『歴史のなかのアイデンティティ』(1974、みすず書房、1979)『ライフサイクル、その完結』(1982、みすず書房、1989)『老年期』(1986、みすず書房、1990)など。1994年没。
星野美賀子(ほしの・みかこ)訳
1931年広島に生まれる。1954年津田塾大学卒業。1956年東京大学大学院英文科修士課程修了。米国ラドクリフ大学留学、元津田塾大学教授。著書『T.S.エリオット――詩と人生』(1982、研究社)。訳書 ロザモンド・レーマン『ジプシーの赤ん坊・雪どけ』(共訳、1958、英宝社)。
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関連書:
E・H・エリクソン『ライフサイクル、その完結(増補版)』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 1』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 2』
E・H・エリクソン/J・M・エリクソン/H・Q・キヴニック『老年期』
E・H・エリクソン『玩具と理性』
E・H・エリクソン『青年ルター 1』
内容説明
心理=歴史的方法により『青年ルター』を著したエリクソンが、現地取材に基づき描いた新しいガンディー像。アイデンティティ概念を国家の歴史に位置づける。
目次
事件(私信;祖国における予言者;協力者と敵対者;事件再述;事件の余波)
真理の梃子(宗教人(ホモ・レリギオースス)
道具)
海への行進
著者等紹介
エリクソン,E.H.[エリクソン,E.H.][Erikson,Erik H.]
1902年ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M.ミード、G.ベイトソン、R.ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946‐50年にかけ『幼児期と社会』1、2(みすず書房、1977、1980)を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950‐60年、オースチン・リッグス・センターの主任医師として活躍した。1958年『青年ルター』1、2(みすず書房)によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960‐70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問
星野美賀子[ホシノミカコ]
1931年広島に生まれる。1954年津田塾大学卒業。1956年東京大学大学院英文科修士課程修了。米国ラドクリフ大学留学。元津田塾大学教授
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