出版社内容情報
科学的研究組織の編成、自然と技術の大百科全書編集、自然を支配し制御する機関―道具としての論理学の改造…。魔術的・錬金術的思想の伝統を脱し、科学的認識を獲得する転回点となったF.ベーコン思想をイタリアの碩学ロッシが再構築する。
内容説明
魔術的起源はいかにして近代科学へ到達したのか?理論的静観的研究から実践的研究へ、科学的認識を獲得する転回点となったベーコンの思想の意義を問う。
目次
1章 機械的技術・魔術・科学
2章 伝統哲学の検討
3章 古典的寓話と科学改造
4章 論理学・弁論術・方法
5章 言語とコミュニケーション
6章 弁論術的伝統と科学の方法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
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知は議論でなく実際の生活に用いるべきだ、というF・ベイコンの主張は、ルネサンスまで影響したアリストテレス主義の批判であり、ジェームズ1世の治世でのプロテスタント政治家の態度表明でもある。本書は、この態度表明に経験主義の祖と呼ばれるベイコンの著書に近代の産業技術を組み入れ、知の新たな機関を創出する思考の実験を見る。ベイコンの神話に対する寓意的解釈は、秘儀的な修辞の力を認める一方、観察によって科学的に解明される自然への一解釈を見る。ひとり紙の書物に向かう習慣から生じる観察は、思考と融合する技術の効果なのだ。2019/09/18