出版社内容情報
天才ヴェントリスによる大発見をつぶさに追う。スリルに溢れたミュケナイ世界への格好の入門書。
内容説明
1952年の線文字Bの解読成功は、古代史研究に画期的な進歩をもたらす大事件だった。クレタ島出土の粘土板に誌されたこの文字は、エヴァンズによる発見から半世紀の後、ついにマイクル・ヴェントリスの手で読み解かれたのである。本書ではその共同研究者チャドウィックが、夭折した天才ヴェントリスを主人公に、解読の経過をつぶさに追い、また解読を通じてうかがわれたミュケナイ世界の姿を描き出す。一篇の推理小説を思わせる、サスペンスと知的感興にみちたストーリー、先史時代ギリシアへの格好の入門書である。
目次
第1章 マイクル・ヴェントリス
第2章 ミノア文字
第3章 希望と失敗
第4章 学説の誕生
第5章 成長と発展
第6章 解読と批判者
第7章 ミュケナイ時代ギリシアの生活
第8章 展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
29
再読は1977年発行の旧装丁本で。今回は解読によって世に出た、ホメロスを数世紀もさかのぼる、古いギリシャ語に注目。ことばは古典ギリシャの時代とそんなに変わらないように見えるが、それを使っていた社会は相当に異なっていた。文学や詩は記録されず、文字の用途も限られたもの。残念だが、それが古代というものだろう。線文字Aやファイストス円盤は果たしていつ解読されるのか。2016/04/16
へくとぱすかる
6
夭逝したヴェントリスの共同研究者による追想の本でもある。未知の言葉で書かれた未知の文字をどう解読するのか?その突破口を知るだけでもおもしろい。執筆当時から今までさらにどんな進歩があったかにも興味が向く。2013/08/20
Arte
1
ギリシャ語だったとは知らなかった。倉庫の物品の記述などをしている粘土版しか発見されておらず、それほど確立していた文字でもないらしい。 2009/08/06