出版社内容情報
ユダヤ教の基底にある教えを解釈し、その現代的意義と「人間の道」を新たに説いた碩学の代表作。
内容説明
ハシディズムとは何か。ユダヤ教の基本的な教えを解釈しつつ、その現代的意義を明した本書は、ユダヤの歴史・文学・思想の基底にある「人間の道」をしめす。
目次
1 スピノザ、サッバタイ・ゼヴィとバール・シェム
2 発端
3 礎石
4 ハシディズム運動の精神と身体
5 象徴的存在と秘蹟的存在
6 神と魂
7 神の愛と隣人愛
8 宗教史におけるハシディズムの位置
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
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シオニズムが政治的傾向を強める20世紀前半は、宗教にも科学的合理主義の解釈が行使された時期とされる。政治性を強めるシオニズムと決別し、文化的シオニストであることを選択した著者は、18世紀ユダヤ主義の大衆化運動であるハシディズムの非合理性に注目した。G・ショーレムはこの運動を、徹底して偶像を排するユダヤ教に神話的要素を呼び込んだと解した。一方著者は、終末論の彼方に出現する絶対神に一方的に服するのでなく、現在を生きる自らの内に潜在する非合理性と対話する運動と捉え、ハシディズムの叙事的で逸話的な語りを評価する。2021/09/14