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出版社内容情報
映画『戦艦ポチョムキン』等テクストやフィルムの中に、別の意味を読みとる画期的な芸術論集成。
内容説明
「第三の意味」とは?そこには『第三の男』のような曖昧さがあり、深い謎につつまれている。おそらく意味論の学者たちはその客観性を疑うかもしれない。しかしこれは『読む冒険』によって発見される新しい地平なのだ。表層のテクストやフィルムの下に潜むもう一つ別のそれを指すのである。それは水平的なストーリーを中断させ、言語活動の法則を打ちくだくカーニヴァル(バフチン)、またテクストの面をつきくずす『垂直の力』(クリステヴァ)である。著者は『イワン雷帝』や『戦艦ポチョムキン』のフォトグラム(スティル写真)を吟味し、この「第三の意味」を探り出す。本書にはそのほか、写真・映画・演劇・音楽に関する15篇を収め、これらの文章は60年代から70年代の全期にわたっている。
目次
写真のメッセージ
映像の修辞学
映画における意味作用の問題
映画における“外傷的単位”
第三の意味
映画館から出て
ギリシャ演劇
ディドロ、ブレヒト、エイゼンシュテイン
聴くこと
ムシカ・プラクティカ
声のきめ
音楽、声、言語
ロマン派の歌
シューマンを愛する
ラッシュ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へび
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演劇/音楽のくだりは知識不足で未消化2014/04/19
竹花 樒 - Shikimi Takehana
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「第三の意味」とは、ストーリーを覆さずに映画を別な風に構造化するもので、《映画的なもの》が現れるのは第三の意味のレベル――それは記述されえないもの、即ち表象され得ない表象――という意味形成性のレベルに根をおろしている。バルトはこれを写真論・映画論・演劇論・音楽論から多面的に考察し、映画の中に時間の硬直した「写真」から〈垂直の読み〉を見出し、古代ギリシャの演劇から遡行する時間と我々との関わりに意味を「再解釈」し、意味形成性の旋律が木霊する音楽の中で「声のきめ」の中にエロティックな物質性への偏愛をみせていた。2010/08/01
v&b
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文章がよい(訳はよくない)。ところどころ、白熱する。しかし前提となる知識をもっていないため、十分には受け取れなかった。2009/05/08
uchiyama
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「悦楽を既知のコード化された情緒に還元する」ような主体の生産に抗うこの本の、(「抗う」という荒々しい言葉にはほんとはそぐわない、そっとそこから離れるような)穏やかさと優雅さ。2022/10/01