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出版社内容情報
言語の権力をテーマに、記号学の未来を考察した講義録。訳者による詳細かつ刺激的な解説も所収。
内容説明
本書は、ヴァレリーやメルロー=ポンティなどの名で知られるコレージュ・ド・フランスに迎えられたロラン・バルトが、自らの思想と立場を表明すると共に、記号学の未来を展望した開講講義を収める。言語の権力というテーマを設定し、それをめぐる多様な問題を浮彫りにしつつ、「新たな授業」を提示・展開する本書は、バルトの思想はもとより、現代の文学・記号学に関心をもつ読者にとって必須の一冊といえよう。また巻末に、バルト記号学の核心を明らかにする詳細かつ刺戟的な、訳者による解説を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
I (et al.)
28
文学がどのように権力、群生とつきあいながら、叡智へと繋がってゆくか。わかりやすいが、最奥まで理解しようとするには再読が必要と感じる。2020/10/17
松本直哉
20
言説の宛先に有罪宣告をするのが権力的言説なのだから、権力は複数でいたるところに存在すると著者は言う。誹謗と罵倒のはびこるSNSを見れば頷ける。しかも言葉そのものが、支配と排除の構造をもつ。主語を決め、自らの性別を決めなければ一言も話せない。言葉を見捨てて隠遁したくもなる。だが著者は言葉を見捨てない。固まろうとする言葉を溶かしながら、ごまかし、ずらしながら権力的言説から逸脱しよう、それができるのは文学だけだ。言葉を通して知る savoir のは言葉を味わう saveur ことだ。権力に取り込まれない快楽。2019/08/26
白義
18
間違いなくバルトの本の中でもダントツにわかりやすい本だけど、だからといって初心者向けってわけじゃなくて、むしろバルトの他の本や実際の文学をある程度読んでからのほうがそのわかりやすい中の味わい深さがわかる、という感じだ。言葉というものには権力性と群生性が否応なくまとわりつく。何かの権力やイデオロギーに奉仕しようと、人を飼いならし、増えていくのがすべての言語活動の実際だ。その権力から逃れ、誤魔化し、戯れていくつかの間の自由の試みが文学なら、それすら不可避な権力性を暴きつつ自分自身も壊していくのが記号学だという2018/07/17
里馬
5
講義内容はホットで面白いんだけど、訳者解説がてんでちんぷんかんぷん。バルトの主要著作粗方読み終わったら出直してきます。2010/11/10
nranjen
4
バルトの取っ掛かりとしては読みやすく良い本に出会えたと思う。晩年77年の講義録。バルトのちょっとした言い回しなどで以前読んだコンパニョンのバルトに関する本を思い出さずにはいられなかった。記号論が席巻していたころから年月が経ったということも今この本を読みながら感じられた。記号とステレオタイプについて引用されていた部分が見つかった。つれづれなる感じなので、しっかりした本を読むべしと思った。2017/12/22