カヴァフィス全詩集 (第2版 新装)

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カヴァフィス全詩集 (第2版 新装)

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  • サイズ B6判/ページ数 474p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622049128
  • NDC分類 991
  • Cコード C0098

出版社内容情報

言語芸術の極北とされる今世紀最大のギリシャ語詩人の全業。「読売文学賞」に輝く名訳でおくる。


訳者:
中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在 甲南大学文学部人間科学科教授。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義――分裂病私見』(みすず書房、1998)ほか多数。訳書にエレンベルガー『無意識の発見』上下(共訳、弘文堂、1980)のほか、みすず書房からはサリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』、さらに『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』『リッツォス詩集 括弧』、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。最近作にはヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)『エランベルジェ著作集』(全3巻)がある。

内容説明

本書は現代ギリシャ最大の詩人といわれるコンスタンディノス・ペトルゥ・カヴァフィスの詩集の全訳である。これに死後刊行された主として初期の詩のうちから、キーリーとシェッパードの英訳詩集に採録されている優れた詩二十一篇を補った。

目次


老人
アキレスの馬
祈り
サルペドンの葬儀
ろうそく
第一段
老人の魂
大いなる拒絶をなせし者…
中断〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

43
ギリシャを舞台に展開される詩の世界は硬質で、こちらをたじろがせる。中井久夫という知性の塊が翻訳したからなのか、詩の内容は平たいながらなかなか重厚で読み応えあり。池澤夏樹はカヴァフィスを意識して詩を書いたというが、確かに池澤の詩とカヴァフィスは似ているなと思わされた。寡黙な詩人が漏らす禁欲的な呟きを書き留めた、という佇まいが似ているなと思ったのだ。これは是非池澤訳も読んでみたいと思った次第。甘ったるい恋愛詩ばかりではなく、喧しいアジテーションでもなく、上品に綴られたスケッチがここにあるな、といった印象を抱く2019/01/28

みねたか@

23
1863年アレキサンドリアの裕福なギリシャ人商人の家に生まれる。英国で紳士教育を受け家業の没落後イスタンブールで若き日を過ごす。東地中海世界の混とん期,豊かな教養ながら低い学歴,英国とトルコという異なる文化に属した混沌を映しだすように,詩作対象は歴史,神話,愛欲,精神など幅広い。密やかでかつ激しい肉体的欲望を描く詩には隠微で色濃い退廃の気配が漂い,歴史詩からは透徹した気高さを感じる。巻末掲載の評論でE・M・フォースターが地中海的錯綜性と表現する多様性が醸し出すなんとも言えない深み。2019/03/01

くまさん

22
 エジプト・アレクサンドリアに生まれ、生涯のほとんどをそこで過ごした詩人の言葉は、どこか開放的で、ときに官能的で、またときに思索的であるとともに、彫琢されてもはや動かしようのない結晶のように輝く。単調な日々やありきたりの快楽を直視し、それでも「人生を広げ過ぎるな、引き廻すな」と語りかける。きみの幸福は「きみの想像力がずいぶん創り出してくれたおかげ」だと忘れるな、と。イタカという島への旅に終着点はない。それは旅の別名で、旅の目的は旅そのものであるからだ。「何年も続くのがいい旅だ」。カヴァフィスへの旅は続く。2018/10/19

ポカホンタス

5
昔から読みたかったけどなかなか入りこめなかった本。勇気を出して読んでみた。皮肉や半身に構えた内容が多く、はじめはなかなかなじめなかった。がまんして読み進めるうちに、ふわっと別世界に入り込むことができた。いにしえの歴史上の人物のすぐそばに引っ張り込まれた。生々しい同性愛の喜びの吐息がすぐそばで聞こえた。ええ?!ええ?!という驚きの連続になった。こんなのありなんだ。すごいことです。2011/04/10

fonfon

4
初版のほうを古書で購入して1ヶ月。読み終わったとはいえないが、現時点での感想。極私的な同性愛の呻きとアレキサンドリアという都市が爛熟した文化を誇った昔にタイムワープした歴史詩、そして哲学的な箴言とがランダムにあらわれ、時間の多層世界に投げ込まれ、彷徨った気分。しかし、いやにくだけた俗語と、堅苦しい漢語とが混沌としていて戸惑うことが多かった。「安易な感情移入は断じておことわり!、ここは会員制です、無資格のあなたはさっさとお引き取りください」と、ぴしゃっと扉を閉ざされた、みたいな疎外感。2011/04/20

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