翼よ、北に

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  • サイズ B6判/ページ数 261,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048688
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

出版社内容情報

簡素な生活のなかで、豊かに生きる智慧を綴った『海からの贈りもの』。その著者、アン・モロー・リンドバーグは、女性飛行家の草分けでもあった。本書は〈飛ぶこと〉の魔力に捉えられた若々しい感動が息づくデビュー作である。

航空黎明期の1931年、アンは夫、チャールズ・リンドバーグとともに、単葉のロッキード・シリウス機でニューヨークを出発、カナダ、アラスカ、シベリア、千島列島を経て、日本、中国にいたる大圏ルートの調査飛行をおこなった。飛行の体験と、さまざまな風物、ひとびと――ここには、みずみずしい感受性とユーモア、そして人間への愛情にあふれた〈最上の旅行者〉アンがいる。

なかでも、「サヨナラ」の一語にこめられた深い心をみごとに洞察した章をはじめとする、日本にかかわる章は、古き日本に新しい発見をもたらし、静かな感動を呼ぶ。チャールズ・リンドバーグによる20葉の地図を収める。

Anne Morrow Lindbergh(アン・モロー・リンドバーグ)
1906年、 アメリカ、ニュージャージー州エングルウッドに生まれる。1927年に、 メキシコで飛行家チャールズ・リンドバーグと出会い、 1929年に結婚。 自身も操縦・通信の技能を身につけ、 女性飛行家の草分けとなる。 1931年に夫妻で東洋への調査飛行を行い、 その経験を題材にした本書で作家としてデビュー。 1932年の長男が誘拐、 殺害されるという事件を乗り越え、 飛行と執筆活動を続け、 多くの著作を著した。 小説Listen! the Wind(1938)、 詩集The Unicorn and Other Poems 1935-1955(1956)、 日記(全5冊)などのほか、 1955年に書かれたエッセイ『海からの贈りもの』(吉田健一訳、新潮文庫)は全米でベストセラーとなったのみならず、1994年に、落合恵子の翻訳で、立風書房から、 20年後に追加された新しい章を加えて出版され、日本でも歓迎された。2001年2月にバーモントの自宅で永眠。

中村妙子(なかむら・たえこ)訳
1923年東京に生まれる。1954年東京大学文学部西洋史学科卒業。翻訳家。共著に『三本の苗木――キリスト者の家に生まれて』(みすず書房、2001)、訳書 ルイス『愛はあまりにも若く』(みすず書房、1976)、『別世界にて』(みすず書房、1978)、ミルトン『リンドバーグ――チャールズとアンの物語』(筑摩書房、1994)、ピルチャー『冬至まで』(日向房、2001)、コーレン『ナルニア国をつくった人』(日本基督教団出版局、2001)、パターソン『私はだれ?』(晶文社、2002)ほか多数。

内容説明

航空黎明期の1931年、アンは夫、チャールズ・リンドバーグとともに、単葉のロッキード・シリウス機でニューヨークを出発、カナダ、アラスカ、シベリア、千島列島を経て、日本、中国にいたる大圏ルートの調査飛行をおこなった。飛行の体験と、さまざまな風物、ひとびと―ここには、みずみずしい感受性とユーモア、そして人間への愛情にあふれた“最上の旅行者”アンがいる。なかでも、「サヨナラ」という別れの言葉にこめられた心をみごとにあらわした、日本にまつわる章は、日本の読者にも新しい発見をもたらし、静かな感動を呼ぶだろう。チャールズ・リンドバーグによる20葉の地図を収める。

目次

北を通って東洋へ
準備
出発
ノースヘイヴン島
無線と飛行ルート
ベーカー・レーク
アクラヴィク
ポイント・バロー
暗闇
キング・アイランダーズ〔ほか〕

著者等紹介

リンドバーグ,アン・モロー[リンドバーグ,アンモロー][Lindbergh,Anne Morrow]
1906年、アメリカ、ニュージャージー州エングルウッドに生まれる。1927年に、メキシコで飛行家チャールズ・リンドバーグと出会い、1929年に結婚。自身も操縦・通信の技能を身につけ、女性飛行家の草分けとなる。1931年に夫妻で東洋への調査飛行を行い、その経験を題材にした『翼よ、北に』で作家としてデビュー。1932年の長男が誘拐、殺害されるという事件を乗り越え、飛行と執筆活動を続け、多くの著作を著した。2001年2月にバーモントの自宅で永眠

中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年東京に生まれる。1954年東京大学文学部西洋史学科卒業。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

52
1931年7月から10月にリンドバーグ夫妻が北太平洋調査飛行をした時の旅行記。1935(昭和10)年に出版され、同年末に邦訳も出た。今から85年前の旅行記だが、2002年に新たな訳出をした中村妙子さんの訳が巧みで、とても読みやすい名文だった。そもそも、なぜ東洋へ? それは、当時、欧米の国から見た東洋は非常に魅力的で神秘的な世界だったから。そして、アン・モロー・リンドバーグは夫と共に単葉のシリウス号で前人未到の調査飛行へ。表紙の写真がとても素敵。先入観をもたず、自分の見たまま感じたままの記録が貴重。2020/06/30

まーくん

36
著者はリンドバーク夫人。夫とともにシリウス号に搭乗、大圏航路で東洋を目指す。著者20代のみずみずしい文章に魅了される。1931年7月、ニューヨークを飛び立った機はハドソン湾西岸を北上、アラスカ北岸を回り、千島列島を経て日本へ。暫時滞在の後、中国・南京へ飛び、洪水調査のため漢口まで。辺境の人々の暮らしや日本の文化にも触れた本書は彼女のデビュー作となった。この旅の後、夫妻は誘拐事件により幼い長男を喪う。その想いからか、幼子を亡くした母の気持ち綴った日本の俳句を引用。「とんぼ釣り 今日はどこまで 行ったやら」。2018/08/24

ぶんこ

23
リンドバーグ氏は、やんちゃで細かい事に拘らず、婦人は、まるで大和撫子のようでした。NYから北へ向かい、アラスカのてっぺんへ。Google地図を見ながら読みました。なんでまた辺境を選んで行くのかなぁと、ため息が出るようなコースでした。辺境にも暮らす人々がいて、新鮮な野菜や新聞に飢えているのを知ったり、面白い。ついに日本に到着し、礼儀正しさと、生活の隅々から芸術を生み出す日本人に感嘆していました。そして揚子江の大氾濫で、餓えて暴徒化した人々に、威嚇の発砲をする夫。日本人である事に誇りを感じる本でもありました。2014/06/09

ぱせり

16
この旅のあとに夫妻を惨たらしい事件が襲うのだ。そしてこの本の二年後には第二次世界大戦が始まる。なんともやりきれない。この記録がいっそう美しくかけがえがない、とも感じられる。寄港地ごとの忘れられない人びとや出来事の記録には、言葉にする必要もない真心が、あちこちで名もないままに小さな光を放って居る。何と美しいのだろう。 2016/03/15

rabbitrun

10
黎明期の空の旅を綴った珠玉のエッセーで、サン=テグジュペリの作品と印象が重なる。当時、大空から下界を見下ろすことは選ばれた人だけが味わうことのできる特別な体験だったはずだが、二人の文章を読むとなぜ彼らが選ばれたのか納得がいく。二人とも物事を俯瞰する能力は天性のものであり、それが飛行機という翼を得て遺憾無く発揮されたのだと感じる。とくに本書の結びで、空を飛ぶことは高みから人生を眺めることであるという著者の洞察は鋭く、驚きと感動を覚える。2012/06/16

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