出版社内容情報
丹下左膳の生みの親「林不忘」、婦人読者層を熱狂させた「牧逸馬」、いずれも長谷川海太郎のペンネームだが、今日なお色褪せず読まれるべきは、「新青年」の常連執筆者、のみならずモダニズム文学のパイオニアとして知られる「谷譲次」名義の作品群だろう。その中核をなすのが禁酒法時代のアメリカ社会、日系移民の特異な生態をハイブリッドな文体で写し取った「めりけんじゃっぷ」シリーズ。丸木砂土こと秦豊吉いわく、「日本ではじめて現れた移民文学」「新しい混血文学」である。
「『面白い谷譲次』に狙いを絞ってこのアンソロジーを編んだ。……同時代文学として、つまり、つい先刻書かれたばかりのものとして読んでもらえればと願っている。」(編者解説より)
収録作品は「方々記」「ヤング東郷」「喧嘩師ジミイ」「白い襟をした渡り鳥」「秋は身に沁みる」「上海された男」「森の馬車」「倫敦街上風景」「聖なるレオポルド」ほか全15篇。モダンでパンク――「ジヨウヂ・タニイ」ズ・ワールドにようこそ。
谷譲次(たに・じょうじ)
1900年、新潟県佐渡郡に生まれる。本名長谷川海太郎。ジャーナリスト長谷川世民の長男。弟に洋画家のりん二郎、ロシア文学者の濬、作家の四郎がいる。1917年、函館中学校を中退して上京、明治大学専門部に在籍。1920年8月渡米、オベリン大学に入学するも11月には退学。種々の職業につきながら各地を転々とし、1924年帰国。1925年、谷譲次名で「新青年」誌にデビュー。以後、谷名義でめりけんじゃっぷシリーズを、林不忘名義で丹下左膳シリーズほか時代ものを、牧逸馬名義で家庭小説・推理小説を発表。1935年6月、「一人三人全集」(全16巻、新潮社)完結直後に死去。著書『テキサス無宿』(1929)、『もだん・でかめろん』(1929)、『踊る地平線』(1929)、『モダーン読本』(1930)ほか
出口裕弘(でぐち・ゆうこう)編
1928年東京生まれ。東京大学仏文科卒業。作家、フランス文学者。評論・エッセイに『私設・東京オペラ』『ペンギンが喧嘩した日』(以上、筑摩書房)、『綺譚庭園』『帝政パリと詩人たち』(以上、河出書房新社)、『古典の愛とエロス』『澁澤龍彦の手紙』(以上、朝日新聞社)、『辰野隆・日仏の円形広場』『三島由紀夫・昭和の迷宮』(以上、新潮社)、小説に『京子変幻』(中央公論社)、『越境者の祭り』(河出書房新社)、『夜の扉』(日本文芸社)、『東京譚』(新潮社)。訳書にバタイユ『内的体験』、ユイスマンス『大伽藍』(以上、平凡社ライブラリー)、シオラン『生誕の災厄』(紀伊国屋書店)、『ショヴォー氏とルノー君のお話集』(福音館書店)などがある。
内容説明
モダニズム文学のパイオニア、ジヨウヂ・タニイの世界へようこそ。かのシリーズ「めりけんじゃっぷ」ほかより厳選した全15篇。
著者等紹介
谷譲次[タニジョウジ]
1900年、新潟県佐渡郡に生まれる。本名長谷川海太郎。ジャーナリスト長谷川世民の長男。1917年、函館中学校を中退して上京、明治大学専門部に在籍。1920年8月渡米、オベリン大学に入学するも11月には退学。種々の職業につきながら各地を転々とし、1924年帰国。1925年、谷譲次名で「新青年」誌にデビュー。以後、谷名義でめりけんじゃっぷシリーズを、林不忘名義で丹下左膳シリーズほか時代ものを、牧逸馬名義で家庭小説・推理小説を発表。1935年6月、「一人三人全集」(全16巻、新潮社)完結直後に死去
出口裕弘[デグチユウコウ]
1928年東京生まれ。東京大学仏文科卒業。作家、フランス文学者
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