出版社内容情報
20世紀は戦争の世紀であった。これはまた、9・11以後、21世紀になっても変わりなくつづきそうである。高齢者の人口がいやおうなく増え、戦争による死者もまた増えつづけるだろう。人間の死がこれまでになく、身近なものになるだろう。老年と死について考えざるをえない所以である。
「19世紀が死を大袈裟に扱いすぎたとすれば、今世紀はそっけなさすぎるのではないだろうか。どちらの姿勢も、人間としての基準をあやうくするものだ。では正しい悲しみ方をした者がいるかと言えば、ギリシア人がそうだった。ギリシア人は泣き、立ちなおり、追想した」。
「老年と年をとることを同一視するのもよくない。年をとるというのは気持ちの問題で、これは年齢とはほとんど無関係に襲ってくるものだ」。
20世紀を代表する名エッセーである「私の信条」をはじめ、「私の書斎で」「無名ということ」、本邦初訳の「大公の物語」など、13篇を収める。また、神韻漂う短編小説「コロノスからの道」と「天国行きの乗合馬車」の2篇をも併収する。どの作品も〈人生の叡智〉に充ちた、大人向けの一巻本アンソロジーである。
シリーズ《大人の本棚》の一冊
--------------------------------
Edward Morgan Forster(エドワード・モーガン・フォースター)
1879年ロンドンに生まれる。建築家の父親は彼が1歳1か月の時に亡くなり、以後母親の手で育てられる。パブリック・スクール(トンブリッジ校)を経て、1897年ケンブリッジ大学キングズ・コレッジに入学し、最初は古典語、ついで歴史を専攻する。G. L. ディキンソンと知り合うと共に、「使徒会」に参加。これは後に「ブルームズベリ・グループ」に発展する。1901年に大学を卒業し、イタリアやギリシアを旅行、小説の想を得る。1905年に『天使も踏むを恐れるところ』を出版、続いて『ロンゲスト・ジャー二ー』『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』を刊行。1912年に最初のインド旅行、1915年国際赤十字の仕事に志願し、アレクサンドリアに赴任する。1923年に『ファロスとファリロン』、1924年『インドへの道』、1927年『小説の諸相』、1928年短篇集『永遠の瞬間』をそれぞれ刊行。1935年パリで開催された国際作家会議に出席、1936年『アビンジャー・ハーヴェスト』を刊行。1944年国際ペン・クラブ会長、1946年キングズ・コレッジの名誉校友となる。1951年『民主主義に万歳二唱』、1953年『デーヴィーの丘』を刊行。1969年、90歳の誕生日を迎え、文壇の最長老として多くの賛辞を受ける。翌70年、91歳で死去。歿後、1971年に『モーリス』、1972年に短篇集『永遠の命』が出版された。
小野寺 健(おのでら・たけし)編・訳
1931年横浜に生まれる。現在 日本大学教授。著書『E. M. フォースターの姿勢』(みすず書房)、訳書 E. M. フォースター『インドへの道』ほか。
川本静子(かわもと・しずこ)訳
1933年に生まれる。現在 津田塾大学教授。著書 『〈新しい女たち〉の世紀末』(みすず書房)、訳書 V. ウルフ『自分だけの部屋』ほか。
小池 滋(こいけ・しげる)訳
1931年東京に生まれる。東京都立大学教授、東京女子大学教授を歴任。著書に『英国鉄道物語』(晶文社)、『島国の世紀』(文藝春秋)。ほかにディケンズの作品などの翻訳がある。
中井久夫(なかい・ひさお)訳
1934年奈良県に生まれる。現在 甲南大学教授。著書『記憶の肖像』(みすず書房)、訳書『カヴァフィス全詩集』(みすず書房)ほか。
北條文緒(ほうじょう・ふみを)訳
1935年東京に生まれる。現在 東京女子大学現代文化学部教授。著書『ブルームズベリーふたたび』(みすず書房)、訳書 E. M. フォースター『眺めのいい部屋』(みすず書房)ほか。
内容説明
20世紀を代表する出色のエッセー「私の信条」から本邦初訳の「大公の物語」まで。リベラリズムと個人主義を土壌に開花した“人生の叡智”を示す15篇を収録。
目次
老年について
私の信条
イギリス国民性覚え書き
ヴォルテールとフリードリッヒ大王
私の森
私の書斎で
ヴァージニア・ウルフ
カヴァフィス全詩集
ハワード・オヴァリン・スタージス
私、彼ら、みなさん
無名ということ
イギリスにおける自由
大公の物語
コロノスからの道
天国行きの乗合馬車
E.M.フォスターについて
著者等紹介
フォースター,E.M.[フォースター,E.M.][Forster,Edward Morgan]
1879年ロンドンに生まれる。建築家の父親は彼が一歳一カ月の時に亡くなり、以後母親の手で育てられる。パブリック・スクール(トンブリッジ校)を経て、1897年ケンブリッジ大学キングズ・コレッジに入学し、最初は古典語、ついで歴史を専攻する。G.L.ディキンソンと知り合うと共に、「使徒会」に参加。これは後に「ブルームズベリ・グループ」に発展する。1901年に大学を卒業し、イタリアやギリシアを旅行、小説の想を得る。1912年に最初のインド旅行、1915年国際赤十字の仕事に志願し、アレクサンドリアに赴任する。1935年パリで開催された国際作家会議に出席、1936年『アビンジャー・ハーヴェスト』を刊行。1944年国際ペン・クラブ会長、1946年キングズ・コレッジの名誉校友となる。1969年、90歳の誕生日を迎え、文壇の最長老として多くの賛辞を受ける。翌70年、91歳で死去
小野寺健[オノデラタケシ]
1931年横浜に生まれる。現在、日本大学教授
川本静子[カワモトシズコ]
1933年に生まれる。現在、津田塾大学教授
小池滋[コイケシゲル]
1931年東京に生まれる。東京都立大学・東京女子大学教授を歴任
中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年奈良県に生まれる。現在、甲南大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うた
きりぱい
久美
アシモ
-
- 和書
- 総決算のとき