大人の本棚
フォースター老年について

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048282
  • NDC分類 934
  • Cコード C1398

出版社内容情報

20世紀は戦争の世紀であった。これはまた、9・11以後、21世紀になっても変わりなくつづきそうである。高齢者の人口がいやおうなく増え、戦争による死者もまた増えつづけるだろう。人間の死がこれまでになく、身近なものになるだろう。老年と死について考えざるをえない所以である。

「19世紀が死を大袈裟に扱いすぎたとすれば、今世紀はそっけなさすぎるのではないだろうか。どちらの姿勢も、人間としての基準をあやうくするものだ。では正しい悲しみ方をした者がいるかと言えば、ギリシア人がそうだった。ギリシア人は泣き、立ちなおり、追想した」。

「老年と年をとることを同一視するのもよくない。年をとるというのは気持ちの問題で、これは年齢とはほとんど無関係に襲ってくるものだ」。

20世紀を代表する名エッセーである「私の信条」をはじめ、「私の書斎で」「無名ということ」、本邦初訳の「大公の物語」など、13篇を収める。また、神韻漂う短編小説「コロノスからの道」と「天国行きの乗合馬車」の2篇をも併収する。どの作品も〈人生の叡智〉に充ちた、大人向けの一巻本アンソロジーである。

シリーズ《大人の本棚》の一冊

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Edward Morgan Forster(エドワード・モーガン・フォースター)
1879年ロンドンに生まれる。建築家の父親は彼が1歳1か月の時に亡くなり、以後母親の手で育てられる。パブリック・スクール(トンブリッジ校)を経て、1897年ケンブリッジ大学キングズ・コレッジに入学し、最初は古典語、ついで歴史を専攻する。G. L. ディキンソンと知り合うと共に、「使徒会」に参加。これは後に「ブルームズベリ・グループ」に発展する。1901年に大学を卒業し、イタリアやギリシアを旅行、小説の想を得る。1905年に『天使も踏むを恐れるところ』を出版、続いて『ロンゲスト・ジャー二ー』『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』を刊行。1912年に最初のインド旅行、1915年国際赤十字の仕事に志願し、アレクサンドリアに赴任する。1923年に『ファロスとファリロン』、1924年『インドへの道』、1927年『小説の諸相』、1928年短篇集『永遠の瞬間』をそれぞれ刊行。1935年パリで開催された国際作家会議に出席、1936年『アビンジャー・ハーヴェスト』を刊行。1944年国際ペン・クラブ会長、1946年キングズ・コレッジの名誉校友となる。1951年『民主主義に万歳二唱』、1953年『デーヴィーの丘』を刊行。1969年、90歳の誕生日を迎え、文壇の最長老として多くの賛辞を受ける。翌70年、91歳で死去。歿後、1971年に『モーリス』、1972年に短篇集『永遠の命』が出版された。

小野寺 健(おのでら・たけし)編・訳
1931年横浜に生まれる。現在 日本大学教授。著書『E. M. フォースターの姿勢』(みすず書房)、訳書 E. M. フォースター『インドへの道』ほか。

川本静子(かわもと・しずこ)訳
1933年に生まれる。現在 津田塾大学教授。著書 『〈新しい女たち〉の世紀末』(みすず書房)、訳書 V. ウルフ『自分だけの部屋』ほか。

小池 滋(こいけ・しげる)訳
1931年東京に生まれる。東京都立大学教授、東京女子大学教授を歴任。著書に『英国鉄道物語』(晶文社)、『島国の世紀』(文藝春秋)。ほかにディケンズの作品などの翻訳がある。

中井久夫(なかい・ひさお)訳
1934年奈良県に生まれる。現在 甲南大学教授。著書『記憶の肖像』(みすず書房)、訳書『カヴァフィス全詩集』(みすず書房)ほか。

北條文緒(ほうじょう・ふみを)訳
1935年東京に生まれる。現在 東京女子大学現代文化学部教授。著書『ブルームズベリーふたたび』(みすず書房)、訳書 E. M. フォースター『眺めのいい部屋』(みすず書房)ほか。

内容説明

20世紀を代表する出色のエッセー「私の信条」から本邦初訳の「大公の物語」まで。リベラリズムと個人主義を土壌に開花した“人生の叡智”を示す15篇を収録。

目次

老年について
私の信条
イギリス国民性覚え書き
ヴォルテールとフリードリッヒ大王
私の森
私の書斎で
ヴァージニア・ウルフ
カヴァフィス全詩集
ハワード・オヴァリン・スタージス
私、彼ら、みなさん
無名ということ
イギリスにおける自由
大公の物語
コロノスからの道
天国行きの乗合馬車
E.M.フォスターについて

著者等紹介

フォースター,E.M.[フォースター,E.M.][Forster,Edward Morgan]
1879年ロンドンに生まれる。建築家の父親は彼が一歳一カ月の時に亡くなり、以後母親の手で育てられる。パブリック・スクール(トンブリッジ校)を経て、1897年ケンブリッジ大学キングズ・コレッジに入学し、最初は古典語、ついで歴史を専攻する。G.L.ディキンソンと知り合うと共に、「使徒会」に参加。これは後に「ブルームズベリ・グループ」に発展する。1901年に大学を卒業し、イタリアやギリシアを旅行、小説の想を得る。1912年に最初のインド旅行、1915年国際赤十字の仕事に志願し、アレクサンドリアに赴任する。1935年パリで開催された国際作家会議に出席、1936年『アビンジャー・ハーヴェスト』を刊行。1944年国際ペン・クラブ会長、1946年キングズ・コレッジの名誉校友となる。1969年、90歳の誕生日を迎え、文壇の最長老として多くの賛辞を受ける。翌70年、91歳で死去

小野寺健[オノデラタケシ]
1931年横浜に生まれる。現在、日本大学教授

川本静子[カワモトシズコ]
1933年に生まれる。現在、津田塾大学教授

小池滋[コイケシゲル]
1931年東京に生まれる。東京都立大学・東京女子大学教授を歴任

中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年奈良県に生まれる。現在、甲南大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うた

8
老年についてで、物言いに同意しつつ、つづく私の信条で次の一文にあたって、にんまりしてしまった。私の立法者はエラスムスとモーテーニュであって、モーセでもパウロでもない。フォースターの言うイギリス国民性から考えると、彼自身はまったくイギリス人らしくないようにも思えるが、実際の立ち振る舞いや習慣となるとなかなか服のように脱ぎされるものではないらしい。残りは文学評が多く、こちらも楽しく読ませてくれる。2015/07/09

きりぱい

7
フォースターが思う、手をのばせばいつでも読めるように置いておきたい著者は、シェイクスピア、ギボン、オースティンだそう。へえー。そう思うと、これにもある短篇「天国行きの乗合馬車」、前に読んだは時は特に考えなかったけれど、帰りの馭者はオースティンかしら。フォースターの描く天国がなかなか好きな作品。書斎の話では、古書に愛着はあるけれど、大事なのは中身で、内容は人生のワインだと言っている。食事を引き立てるワインか。うむ。あとは「ヴォルテールとフリードリヒ大王」「イギリス国民性覚え書き」がよかった。2015/01/18

久美

0
「人類の真の歴史は人類の愛情の歴史なのだ。これに比べれは他の歴史などはーー経済史をふくめ--すべて偽りである。」『老年について』私がなぜフォースターを好きかというと、彼がこういうことを臆面もなく言うひとだからである。2012/11/07

アシモ

0
再読 やはりフォースターはすばらしい。読む精神安定剤2012/10/08

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