ガラテイア2.2

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  • サイズ B6判/ページ数 403p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048183
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

昨春、処女長篇『舞踏会へ向かう三人の農夫』によって、日本の読書界に彗星のごとく登場し、たちまち席巻した、現代アメリカ文学の若き鬼才、リチャード・パワーズ。彼の90年代の代表作が、いよいよその姿を現わす。『ガラテイア2.2』。ギリシア神話に名高い女性の名前をタイトルに掲げた本作のテーマは、ずばり人工知能である。

主人公は、その名も「リチャード・パワーズ」。既に話題作を幾つか発表し、将来を嘱望された新進作家である。自らの出身大学に設置された先端科学研究所の客員研究者として招聘された彼は、偏屈な天才(?)科学者レンツ博士と出会うことになる。博士は「人工知能は文学を解釈し、理解しうるか」という究極の実験プロジェクトに取り憑かれ、いつしか主人公も抗いようなく、その試みに心身共にのめり込んでいく……。

「まさに華麗というほかはない」と巨匠アップダイクも唸らせた、新世紀作家の面目躍如な傑作。この上なくスリリングな小説の誕生を、若島正の名訳で堪能していただきたい。

書評情報:
高橋源一郎さん/週刊朝日2002.1.18号


Richard Powers(リチャード・パワーズ)
1957年アメリカ合衆国イリノイ州エヴァンストンに生まれる。11歳から16歳までバンコクに住み、のちアメリカに戻ってイリノイ大学で物理学を学ぶが、やがて文転し、同大で修士号を取得。80年代末から90年代初頭オランダに住み、現在はイリノイ州在住。『舞踏会へ向かう三人の農夫』(柴田元幸訳、みすず書房、2000)で作家としてデビュー。著書にPrisoner's Dilemma(1988)、The Gold Bug Variations(1991)、Operation Wandering Soul(1993)、本書Galatea 2. 2(1995)、Gain(1998)がある。最新作はPlowing the Dark(2000)。

訳者:
若島正(わかしま・ただし)
1952年、京都市生まれ。英米文学専攻。1975年、京都大学理学部卒業。1980年、同文学部卒業。1982年、同大学院文学研究科修士課程修了。現在、京都大学大学院文学研究科教授。著書『盤上のパラダイス』(三一書房、1988)、『乱視読者の冒険』(自由国民社、1993)、『盤上のファンタジア』(河出書房新社、2001)、『乱視読者の帰還』(みすず書房、2001)。訳書『幻想と文学』(東京創元社、1989)、『ゴースト・ストーリー』(ハヤカワ文庫、1994)、『完全チェス読本』1・3(毎日コミニュケーションズ、1998)、『告発者』(早川書房、1999)、『アラビアン・ナイトメア』(国書刊行会、1999)、『ディフェンス』(河出書房新社、1999)など。共訳書『ハイパーテクスト』(ジャストシステム、1996)、『ナボコフ短編全集』Ⅰ・Ⅱ(作品社、2000-01)など。

内容説明

リチャード、と彼女はささやいた。彼女の名前はヘレン、最新型の人口知能―『舞踏会へ向かう三人の農夫』の天才作家が描く新世紀の恋愛小説。

著者等紹介

パワーズ,リチャード[パワーズ,リチャード][Powers,Richard]
1975年アメリカ合衆国イリノイ州エヴァンストンに生まれる。11歳から16歳までバンコクに住み、のちアメリカに戻ってイリノイ大学で物理学を学ぶが、やがて文転し、同大で修士号を取得。80年代末から90年代初頭オランダに住み、現在はイリノイ州在住

若島正[ワカシマタダシ]
1952年、京都市生まれ。英米文学専攻。1975年、京都大学理学部卒業。1980年、同文学部卒業。1982年、同大学院文学研究科修士課程修了。現在、京都大学大学院文学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のりすけたろう

39
読了ー‼️。゚(゚´Д`゚)゚。登録者数も少なめなので、随分後の方で読んでしまったのだけれど、めちゃくちゃ良かった‼️パワーズが更に好きになる作品でした✨自伝的な作品でワクワクしながら読みました。しかし。めちゃくちゃ切ない、悲しい作品です。SFっぽいけど、本質は違う感じ💦さようなら。リチャード。の所は泣けました。残すところ和訳作は一作品だけ.°(ಗдಗ。)°.じっくり読みたいなー💕2021/10/24

ソングライン

19
作家自身が主人公となり、どんな文学作品でも解釈できるコンピューターシステムを作成するという研究の言語訓練を担当することから物語は始まります。また、作者が処女作「舞踏会へ向かう三人の農夫」の成功を収める頃から愛を育み、10年後に別れることになる女性Cとの切ない恋愛が並行して語られます。やがて意識を持ち始める人工知能ヘレンとの相互理解と愛、それは実体のない意識ゆえの切ないもう一つの別れを主人公にもたらします。パワーズ作品でいつも味わう高い壁を越えた後に出会う大切なもの、今回はどうしようもない孤独でした。2019/06/11

スミス市松

17
第五作目となる本作にてパワーズが打ち出す問いは「人工知能が文学を解釈することは可能か」。小説家と神経工学者が協同して文学修士号の口頭試問を突破するためのソフトウェアを組み上げるこの物語は、必然的に作家にとっての小説の意義を、人生の意義を再検討させることになる。それゆえ本書が自伝的色彩を帯びるのもまた必然だ。小説では人工知能の開発と並行して、主人公パワーズが『舞踏会へ向かう三人の農夫』『囚人のジレンマ』『黄金虫変奏曲』『さまよえる魂作戦』をいかに書き上げていったかが当時の恋人Cとの思い出とともに回想される。2020/06/23

Ecriture

11
人工知能を文学修士試験に合格するレベルにまで育てられるか、というメインプロットと複数のサブプロットが対話し、死・愛・記憶といった骨太なテーマが描かれる。AIは意識を持てるか、夢を見るか、愛することができるか。AIをバージョンアップするごとに更新されるのは、AIではなく人間の方。人間は死をなくすことがきできるか、記憶を失わないことができるか、変わらないことができるか、そして愛を永遠のものにできるか。逆行するために、失われたものを取り戻すために同盟を組むレンツとパワーズの物語。2012/04/14

3247

7
人工知能をめぐる話だから多分にナーブなのだけど、それ以上に語り手とその過去をめぐって相当にナイーブな話でもあった。扱われる題材が(当時の)最先端の科学で、理解の追いつかないところもあるが、予想に反して、というか米ポストモダンの作家ということで前衛的手法だとか晦渋さを想定していたのだが、オーソドックスな佇まいだったことが意外だった。比喩の冴えや含蓄はなかなかのもので線を引きたくなるところも多いのだが、語り手とその過去の叙述は感傷的すぎてかなり苦戦した。そこが魅力でもあるのだろうけど、こちらまで引きずられる。2014/03/06

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