出版社内容情報
書評情報:
鈴村和成さん/文春図書館
内容説明
「教えてほしいの。シモンのことがどうも腑に落ちなくて。あなたは私なんかよりも古くからの知り合いでしょ。どうしてあんな風になったのか、ぜひ教えてほしいのよ」名門出のシモンは、何故すべてを投げ出して姿を消してしまったのか。その挫折の原因を、ルネは女友達のローリスとともに探索する。街路樹の木蔭の小暗い部屋に閉じこもり、六月の長い長い一日をかけて…。二人がすでに六十代に入っている現在と、戦中・戦後のさまざまな過去との間を時間は行き来する。幾重にも重なる時間のひだの奥から、シモンとそのまわりの男女が姿を現わし、消えて行く。いかにもグルニエ的なこの小説は、日本において戦後民主主義高揚期の解放気分とその後の幻滅を味わった世代に共通する物語=歴史でもあるだろう。
著者等紹介
グルニエ,ロジェ[Grenier,Roger]
1919年、カーンに生まれ、ポーで育つ。戦後カミュにさそわれ「コンバ」紙で働く。「フランス・ソワール」紙編集部を経てガリマール書店文芸顧問。著書に『シネロマン』(1973年、邦訳、白水社、1977年)『水の鏡』(1976年、邦訳、白水社、1984年)『編集室』(1977年、邦訳『夜の寓話』、白水社、1992年)『黒いピエロ』(1986年、邦訳、みすず書房、1999年)エッセイ『降る雪を見よ』(1992年、邦訳『チェーホフの感じ』、みすず書房、1993年)『フィッツジェラルドの午前三時』(1995年、邦訳、白水社、1999年)『ユリシーズの涙』(1998年、邦訳、みすず書房、2000年)ほか多数
山田稔[ヤマダミノル]
1930年、門司に生まれる。作家。著書に『スカトロジア』(福武書店)『コーマルタン界隈』(芸術選奨文部大臣賞、みすずライブラリー)『生の傾き』『太陽の門をくぐって』『北園町九十三番地 天野忠さんのこと』(以上、編集工房ノア)『シネマのある風景』(みすず書房)『ああ、そうかね』(日本エッセイスト・クラブ賞、京都新聞社)ほか。訳書にゾラ『ナナ』(河出書房新社)アレー『悪戯の愉しみ』『フィリップ傑作短篇集』(以上福武書店)『フランス短編傑作選』(岩波文庫)グルニエ短篇選集『フラゴナールの婚約者』(みすず書房)ほか
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