出版社内容情報
ミシュレの「ヴィーコ発見」からロシア革命まで、百年かけて構築された「社会変革の思想」とは?
全2巻/完結(1999年)
内容説明
1917年4月、レーニンはペトログラードのフィンランド駅に立った。ミシュレのヴィーコ発見から百年、この瞬間に向かって構築された「社会変革の思想」とは。第一次世界大戦中の1917年4月、レーニンは亡命先のスイスで「ロシア革命、勃発」の報を受け、「封印列車」に乗って、ペトログラードの「フィンランド駅」まで戻ってきた。そして駅前を埋めた数万の労働者を前に最初の演説をする。それに続く一連のできごとは、20世紀の運命を決した、しかし「フィンランド駅」を一つの頂点とする“革命の伝統”は、いつ、どこで、誰によって、用意されたのか、これが本書のテーマである。
目次
ミシュレ、ヴィーコを発見する
ミシュレと中世
ミシュレとフランス革命
歴史を生きるミシュレ
国民主義と社会主義の狭間に立つミシュレ
革命の伝統の衰退(ルナン;テーヌ;アナトール・フランス)
社会主義の起源(バブーフの弁明;サン=シモンのヒエラルキー;フーリエとオウエンの協同体;アンファンタンとアメリカの社会主義者たち)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
27
「ヴィーコにかんする言及にたいへん興味をそそられたミシュレは…さっそくイタリア語の勉強にとりかかった」この本は時代と国を跨いだ二人の偶然の出会いから始まる。「この社会は確実に人間によって造られたもの(ヴィーコ)」「わたしは狂ったようにヴィーコにとり憑りつかれた…黄泉の国の暗さ、壮麗、金枝(ミシュレ)」。微かな夢想の種が、屍の上に芽吹き、流血をもって育まれ、深紅の華が咲き誇り、散って、血の滴る実を結び、熟れて破れて、また血に覆われ、血刃矢降る…その凄惨な歴史の連続性を堪能できる絶品(※悪まで個人の感想です)2016/11/06
泥の本
6
歴史叙述は哲学であり、取捨選択は取りも直さず政治的立場の表明である。歴史と哲学と社会改良思想は不可分のものである、という考えこそがマルクス主義を招来した。これは革命家の話であり、歴史家の話であり、同時に、知ることと生きることの不可分性の話でもある。コップの中に一つずつ氷が投入されていく。溢れ出す「その日」を待ちながら2017/06/06
harass
5
文句なしの名著。マルクス主義の祖先が生まれて、ロシア革命で実際に労働者の国をつくり上げるまでの人々のドラマがドラマティックにまとまっている。原著は1940年出版され、著者はアメリカの文芸評論家でマルクス主義に対しては批判的な態度を取っている。社会を変革しようという連中は兎にも角にも強烈な変人が多く、面白い。マルクス主義の概要もあって客観的に簡潔に論じてあって勉強になった。個人的な疑問点もかなり解消できた。 たしかにマルクス主義は過去のものになったが歴史を揺り動かした要素だ。思想の魔力を味わえる良書だ。2012/04/09
takao
1
ふむ2024/09/19
(ま)
1
封印列車がサンクトペテルブルクに着くまで 流れ出したのはフランス革命か...2020/12/13