出版社内容情報
19世紀初頭のヨークシャー、ラダイツの嵐にさらされる <谷間の工場> をめぐる男女の人間模様。
内容説明
ラダイトの嵐さかまくヨークシャに生きる様々な男女の人間模様。円熟した作者の筆が冴える長編大作を待望の新訳で。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
126
シャーロット・ブロンテの第三の長編小説。舞台は産業革命真盛りのヨークシャー地方。機械打ちこわしの「ラッダイト運動」の最中、ロバート・ムアの紡績工場が労働者に襲われるが、ムアは怖けることなくこれに向かう姿勢を見せる。その従妹のキャロラインはムアへの恋情を伝えられず悶々と生活する。そこに世襲財産を継承した美貌の地主シャーリーが登場する…。キャロラインの恋心に鈍感なムアや、奥行きのない人間性のヘルストン司祭などによりウンザリ感を持ったが、シャーリーの登場で読み手もシャキッとなった。下巻が楽しみだ。G1000。2025/02/08
ケイ
110
『ジェイン・エア』の作者が、その後に書いた作品。恥ずかしながら、ブロンテ姉妹は三姉妹で、『嵐が丘』の作者とは違い、その妹であるようだ。未読の作家たち。さて、この作品の舞台はイギリスだが、話の設定や登場人物達が、アメリカのソープオペラ並みにドラマがある。感想は下巻で。2016/09/11
NAO
69
産業革命による工場の機械化とナポレオンの大陸封鎖令によってイギリスの貿易が途絶えてしまったことから起こった労働者たちの大量首切り、それに抵抗する労働者たちの機械破壊行動。『シャーリー』は、『ジェーン・エア』が空想的すぎるとの批判を受けて、ラダイト騒乱を背景にしている。だが、何とも大仰な語り口が鼻につくし、当時の社会状況よりも、現代では考えられないような女性蔑視の言動が気になって仕方がない。2019/04/29
星落秋風五丈原
30
【ガーディアン必読1000冊】ヒロインのシャーリーは若き女相続人で、本編は彼女を巡る物語だが、彼女が登場するまでに脇役達の思考回路やこれまでの来し方が詳細に述べられる。現代ならば行動様式や性格は、そのものずばりの言葉を使うのではなく、印象的なエピソードを紹介することによって読者に理解させるのが普通だ。しかし当時の読者は様々な小説を読んでいたわけではないので、まず物語の地ならしをしておいて、十分理解を深めた上で、「さあ、物語が始まりますよ」と親切の上に親切を重ねたような構成になっている。2019/06/25
秋良
8
【G1000】労働問題と男女の三角関係。前に別作家の作品を読んだ時も感じたけど、社会的な男性観はここ百、二百年の間にあまり変わってないのに対して女性観は驚くほど違う。2018/03/18