出版社内容情報
ストーリー、登場人物からパターンとリズムまで小説の仕組みを語り明かした <小説論> の古典。
内容説明
ストーリーから登場人物、幻想・予言まで小説の要素と魅力を具体的に明示した古典。
目次
1 序論
2 ストーリー
3 登場人物
4 登場人物(つづき)
5 プロット
6 幻想
7 予言
8 パターンとリズム
9 結び
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めまい
8
現実では他人のことを真に理解することはできない、理解したつもりでもそれは幻想の域を出ない、でも小説では登場人物のすべてを理解することができる。そんな風に言い切ることがすごい。小説という知的統合体の力を信じているからそう書けるのだろう。ストーリーがもたらしてくれる「それから?」「それから?」に満足してしまう部分が人間には少なからずあり、それを原始的好奇心として低俗なもの、サナダムシとまで喩えているのには閉口しそうになったけれど、確かに存在するストーリーの魔力を否定しているわけではなくてとても面白かった。2023/01/10
viola
5
山本氏の『東大の教室で~』を読んで、これに言及があったので読んでみました。フラットやラウンドな登場人物についてですね。特に面白いのは前半のストーリーや登場人物のあたり。小説で夢が描かれるのは何目的があるときだけであり、飽くまでも目が覚めている生活を描くために描くのであり、 人生の3分の1を暗闇で過ごす生き物としては描かない・・・・。最後のほうはちゃんと文学作品を読んでいないと分からないけれど、訳者解題がこの本の要約になっているため、時間のない方などは解題を先に読んだりするのも一つの方法かもしれません。2011/04/26
ぬにぇ
3
講演を書籍化したもののため、とってもわかりやすかった。その内容は期待していたような理論的なものではなく比喩的だが、そのわかりやすさに、小説(文学)を過度に理論化するのも考えものなのかもな、とも思った。 この頃は小説の読み方とか、それに関連する本を何冊か読んできたが、いよいよ実行に移すときかも!2024/09/28
つーさま
1
辻原登の『東京大学で世界文学を学ぶ』という本の中で紹介・言及されたので手に取った。まず、いくつかの作品を例に挙げ、ストーリー、プロットという小説を構成する重要な要素を、時間の進行と事実の因果関係という側面から定義している。そして、因果関係に重点を置くプロットがただ単純に時間の進行にしたがって語られるストーリーよりも知的であり、高級なものであるとフォースターは考えているが、一方で、プロットばかりに焦点を置くと、登場人物の自由な活動が阻害され、生き生きとした人間を描くことが難しいとも言っている。2012/04/30
なかたし
0
序盤で語られるストーリーやプロットの話は面白い。ストーリーとプロットの違いについては、曖昧模糊とした理解しかなかったから、とても参考になった。後半は微妙。著者の本業が作家だからか、やたらとレトリックを使いたがるせいで、結局漠然とした理解しか得られなかたった。「小説の『幻想』とか今まで漠然としか理解してなかったけど、この本で漠然とした理解できたよ!」という感じで、前に進んだ気がしない。まあ、明瞭な理解ができない分野なのかもしれんし、あるいは、読みが浅いだけなんかもしれんけど。2013/07/23