出版社内容情報
母の影響、後期印象派、創造と狂気――V.ウルフの精神と文学を明示する出色のトリプティック。
内容説明
『燈台へ』『ダロウェイ夫人』『波』など、20世紀を代表する傑作はいかにして生まれたのか?ヴァージニア・ウルフの心奥につきまとい、その精神に強い影響を与えたものは何か?また、彼女の虹のように把え難い文学世界に堅固なるリアリティを与えた小説技法は、いかにして生まれたのか?さらに、彼女の生涯と文学に濃い影を落としている狂気と創造の関係は、一体どうだったのか?本書は、これらの問題について彼女の作品と多くの資料を渉猟しながら、その創造の核心を解き明かした待望の作家論である。
目次
1 見えざる存在(セント・アスヴズ;リトル・ホランド・ハウスの美神たち;献身の日々;非在の存在;『燈台へ』;フェミニズムへの道標)
2 姉妹の芸術(チャールストン・ハウス;ブルームズベリーの恋愛;知的共存;ロジャー・フライ企画「後期印象派展」;ヴァネッサ・ベルの絵;ヴィジョンの瞬間;「壁のしみ」;堅固なるもの)
3 狂気の代償(ヴァージニアの病い;狂気のパラドックス;『夜と昼』、『ダロウェイ夫人』;マンクス・ハウスの修道士;死の想念)