ユリシーズの涙

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  • サイズ B6判/ページ数 155p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622045298
  • NDC分類 645.6
  • Cコード C0097

出版社内容情報

愛犬と過ごした日々の回想と、文学の内外に登場する犬たちのエピソードを絶妙な語り口でつづる。

書評情報:
池内紀さん/朝日新聞 2001.1.28
山田稔さん/週刊朝日 2001.2.26号

内容説明

愛犬と過ごした日々の回想、文学の内外にいる犬たちのアネクドーツを織りなした43の断章からなるエッセー。人生を知りつくした短篇の名手による愛犬家と厭犬家のための本。

目次


犬であることのむずかしさ
非難のまなざし
においの世界
落ちこぼれた者たち
犬たちの天国
過去のある犬
フロベール、ニシキヘビからオウムまで
バック通りの散歩
愛されること
〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たーぼー

49
愛犬家と厭犬家に向けられた本ということは、グルニエは人間の犬に対するエゴイズムにも一定の理解をしたうえで書いているはず。それは服従のことは勿論、例えば人間が実現出来ない無力なものを、あの長い鼻(凄まじい嗅覚)に求めるといった類のものだと考える。ギリシャ神話、フロイト、谷崎潤一郎まで思索と執念が文学、歴史、妄想の中を繚乱し実に味わい深く、暖かく、物悲しい。やがて寿命の短い犬の命が尽きたとき、この避け難い神秘的な相互関係は、よりいっそう照らされ夢の中でも相棒の名を呼び続け探している己自身に出逢うのだ。2016/12/04

ふるい

11
犬と人間、そして文学にまつわるエッセイ。とてもよかった。犬は裏表のない愛情をまっすぐ与えてくれるから私も大好きだが、そう思うのは多分人間のエゴで、しかしそれでも犬は純粋にわれわれを信頼し好いてくれる人生におけるこの上ない相棒なのであった。2017/10/07

うた

7
クンデラ『別れのワルツ』の犬狩りのくだりを読みながら、実作を読んだときは背景がわからず困惑したことを思い出した。犬が個人的な生活の象徴のように扱われ、全体主義の社会で殺されてまわっていたなんてことは想像の範囲外だった。それこそ犬も食わない世界というものだろう。2018/03/17

qoop

7
文学者は犬たちをどう書いたて来たか。曖昧で自信のない人間の愛情や行動を、犬たちの目を通して補完させているに過ぎないとすれば、結局人間についてしか語っていないのかも知れない。動物について語ることは、人間の弱さを認めることでもあるのかな、とも。本書には興味を惹かれる逸話、論考が満ちている。中でも自分の飼い犬とフロイトのいう「不気味なもの」を共有したと感じる〈ユリシーズ死後の夢〉、厭世家にとっての犬を見つめてペットとの関係性を直視する〈人間嫌い〉は印象深い。2017/01/07

刳森伸一

6
ロジェ・グルニエによる犬と文学に関するエッセイ。自身の愛犬ユリシーズとの思い出を挟みつつ文学作品に登場する犬や、作家と犬との関係などが様々な断片によって多面的に描かれる。相変わらずの博覧強記ぶりで里見八犬伝までも言及されていて驚いた。隙なく素晴らしいエッセイだけど、ヴァージニア・ウルフの名作『フラッシュ』を解題した章が白眉で、色々と目から鱗が落ちた。2018/09/02

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