出版社内容情報
16世紀から20世紀まで、男から女へと変身し、生きつづけたオーランドーの破天荒な傑作伝記=小説。
ヴァージニア・ウルフ∥コレクション 全8冊
既刊:
燈台へ \2600
自分だけの部屋 \2200
ダロウェイ夫人 \2700
壁のしみ -短編集- \2600
波 \2800
ある作家の日記 \3800
オーランドー \2800
未刊:
三ギニー
内容説明
わが主人公オーランドーは16世紀のイギリスに16歳の少年として登場し、17世紀には「男」から「女」に性転換、さらに生きつづけ、巻末の1928年において齢なお36歳である。「時」の限界と「性」の境界を超えて、多様な「読み」を誘発するメタバイオグラフィの傑作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
長谷川透
20
エリザベス朝時代に生まれた美男子オーランドーはこの時代の男児らしく騎士道を志し、誉れ高く生きる。しかし、30歳を越えたときに突如、この美男子が女性に変わってしまった! 荒唐無稽な展開にオーランドーは動揺し、己に畏れ慄きいて発狂さえしてしまうのかと思ったが、あっという間に順応し、言葉遣いや装いも即座に女性らしくなってしまう。そしてその後300年生き、女性から男性になったとう男と結婚してしまうという無茶苦茶な物語。奇想天外荒唐無稽の幻想小説だが、ウルフ曰く伝記。ジャンダー小説なんて括ってしまうのは愚行である。2013/12/12
ソングライン
17
16世紀のイギリス貴族の家に生まれたオーランドーの少年期から始まる伝記です。ロシア皇女との恋、文学への傾倒、政治的地位の獲得など前半は青年期の活躍を描いていますが、30代のある時から、突然の女性への転化、時間の制約からの脱出が始まり、最後は30代女性として1920年代を過ごすオーランドーに行き着きます。空虚感のない不思議な時の流れを経験する物語でした。2019/05/21
みゃお
7
今年この作品が舞台化されるということで 原作に興味をもったですが。 なかなか進まない。。。 一体どんな舞台になるのだろう。 一人の人間の半生を 300年いう時間をかけて描くのだから。 観劇(出来たら)後再読かなぁ。2024/03/06
tyfk
6
「もし心の中で(出まかせに数字を上げるが)七六の異なる時がすべていっせいにかちかち音をたてるなら、 人間精神にはいったい——ああ——何人の異なる人間がいろいろな祈りに宿っているのだろう? 二〇五二人、という人がいる。だから、一人になるやいなや、オーランドー?(そういう名前の人なら)と呼びかけるのはごくごく普通のことなのだ。それは、早く来て! 今の自分に死ぬほど飽きたのよ、他の自分になりたいの、という意味なのだ。 そういうわけで、私たちは、友人が驚くほど変化するのを目にすることになる。 p.2662023/06/17
駒子
6
男でもあり、女でもあり、少年でもあり、老人でもある、性別と時を越える美しきオーランドー。その強烈な存在の周りをひらひらと飛ぶ蝶を思わせる描写のためか、きつねにつままれたような、不思議な気持ちになった。あまり入りこめなかったけど、この雰囲気は好きなので、他の作品も読んでみたい。2017/03/02