出版社内容情報
アトリエで、カフェで、故郷の村で。ジャコメッティとの素晴らしい日々を写した263枚の写真。
内容説明
『写真をとらせて頂きたいのですが』『いいとも、暗すぎはしないか…』矢内原は芸術家の日夜を撮り始めた。アトリエで、カフェで、故郷の村で。ともに過ごしたすばらしい日々!263点、一挙公開。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
86
素描、制作風景、人となりが、写真と言葉でよく伝わってくる。妻アネット、訪問者矢内原伊作、闖入者「泥棒日記」ジャンジュネ。作品としての「ヤナイハラの肖像」「ヤナイハラの胸像」をどう展示するとよいのだろうか。2014/06/10
井月 奎(いづき けい)
31
ジャコメッティの彫刻作品に私は影を見ていたのです。夕日を背負い長く長く伸びる影を。では影とは何でしょう? 影とは実態と光があって初めて現れます。実態、光、それらは命そのものです。実態が動けば影も動き、光の様子によって影の形は変わります。つまり影とは命と大地の関わり合いではないでしょうか? ジャコメッティの彫刻にはそのことを教わったのです。日本人の哲学者でジャコメッティのモデルを務めた矢内原伊作が撮影したスナップとコメントを集めた写真集を読んで、その思いを深くしました。命、実態、光、影。ジャコメッティ。2017/08/27
K
12
いつだったか、兵庫県立美術館を訪れた時、ジャコメッティの作品を鑑賞して、「力」があると感じたのだった。動かないが、動いている何かがある、そんな感じがした。死と生、対象化された眼差しと対象化してくる眼差し。サルトルの言う綜合を作品の中で行おうとしているのではないかと、本書を通して考えた。矢内原氏は、ジャコメッティを前にモデルとしてポーズしたまま椅子に座っていたそうだ。ここで制作者と対象者の不思議な関係がなされていたに違いない(特殊な相克関係)が、そのことを垣間見れて満足した。2023/05/24
ナディル
4
矢内原伊作がジャコメッティのモデルを務めた折に撮影した彫刻家の素顔。写真は矢内原の感動的なジャコメッティ論を相補するというよりもテクストそのものの像であるかのようです。作品は私にとっては未だ簡単には取り付けない孤高の絶壁のままですが矢内原の眼を通した作家像を知れたことで放たれている熱量は朧に感得し得るようになれたのかもしれません。アネットさん(奥様)との2ショットは素敵。2024/06/17
霧
4
p.57のアネットとの仲睦まじい写真が好き。哲学者の矢内原が高級カメラを持ち込み、生活レベルで溶け込みながら撮影しているのがよくわかる。2017/08/09




