出版社内容情報
二人の稀有な創造的友情。そのきっかけを作った著者の透徹したエッセーに矢内原との対談を併収。
内容説明
“見る人”ジャコメッティを通して芸術が変わり、芸術への理解が変わり、友情が変わる。芸術家と哲学者と詩人のこの稀有な出会いを、澄明な言葉で書き記したエッセー集。矢内原との対談も収載。
目次
1 アルベルト・ジャコメッティ(パリ・サンファン;歩く男の像;アルベルト・ジャコメッティと矢内原伊作展に ほか)
2 対談 ジャコメッティについて
3 矢内原伊作(矢内原伊作の死とジャコメッティ;未知なる友;最後の日々―前夜祭での挨拶 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
92
ジャコメッティによる矢内原伊作の肖像画と、ブロンズ「歩く男」の写真があるだけで、著者によるジャコメッティと矢内原伊作に関する評論集。矢内原伊作との対談を間に挟んでいる。他のジャコメッティ本でも写真が少ない。作品ではなく制作者の態度が特徴なのだろうか。2014/06/10
chanvesa
20
十数年前にD・ヘンシェルがシューベルトの「冬の旅」のアルバムを出した。ジャケットに爪楊枝の様な人間の像が掲載されていた。そのCDは買わずじまいだが、ジャケットは印象に残っていて、後にジャコメッティの作品と知った。余計なものが削ぎ落とされ精神のみが歩き出そうとしているようだ。「可能な限り」という言葉が何度も繰り返される彼の文章(29頁~)には、追求の精神がうかがえる。同時に132頁に出てくる若き日の暴力への衝動が、天才の近寄りがたさを証明していると思う。彼は「地球は尖っている」(36頁)と感じる天才なのだ。2015/02/15
sk
2
貴重な歴史的証言。2024/08/19
masawo
1
ジャコメッティ展の予習として読んだ。ジャコメッティの彫刻がなぜあのような独特のフォルムになったのか、宇佐美氏と矢内原伊作の対談で解き明かされている。客観的な視点でジャコメッティについて知るには良いと思う。本書のメインテーマは勿論ジャコメッティだが、後半では矢内原伊作という人物にもスポットが当てられており、氏の著作もぜひ読んでみたいと思った。また、この本の内容とは直接関係はないが、矢内原氏とジャコメッティの妻アネットの件を知って、個人的にかなり驚いた。2017/08/26