出版社内容情報
シュールレアリストにしてトロツキスト、つねに前衛として20世紀を駆け抜けた思想家の回想録。
内容説明
本書は、極めて早熟かつ批判精神に富み、つねに時代の前衛として現代史を駆け抜けた思想家が、自らの足跡を振り返ったユニークな回想録である。シュールレアリストたちの群像、その理想と現実、ブルトンとの相克、文学とコミュニズムの関係など、興味津々たる現場からの報告・証言に満ちている。シュールレアリスムを中心とした現代芸術・思想を解読する上で必ずリファーされる一冊。
目次
諸言(ドゥニーズに;わがいと親愛なる素敵なドゥニーズに;驚異に語りしドゥニーズ;封印された友情;ユキノシダのプロメテウスのために;アジア;おまえの沈黙を判読しながら;物語)
本文(ポール・エリュアールの失踪;自殺は一つの解決なりや?;『シュールレアリスム革命』創刊号;自動記述の自己弁明;閨房の哲学―性についての対話;バンジャマン・ペレは語る;シュールレアリスムの絵画は存在するか?;ダリ、ダリ、ダリ!;音と物音;叛乱の鼓動;東洋から西洋へ;革命と知識人;愛と闘争;昨日と明日)
証拠書類(詩篇;どれもこれも;『左手の女王達』;自殺は一つの解決なりや?;美術;性についての対話;『白昼に』;児童画について;ドゥニーズ・ナヴィルの翻訳;音楽の書誌;共産党、『ユマニテ』そしてシュールレアリスム;シュールレアリスム『第二宣言』についての弁明)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
10
シュルレアリスムの基本文献。内容は多岐に渡るが、個人的な関心事として「音と物音」という音楽論の章が大変面白かった。ブルトンの音楽嫌いは、さまざまな文献で知られているが、この章はかなり詳細に事情を説明している。音楽の芸術性を体系的に否定する思想というのも、シュルレアリスム以外にあまり思い当たらないし、ブルトン周辺でもついていけないシュルレアリストが多数居たとのこと故、ブルトンの特異性が際立つ。純粋音楽信仰の裏の裏といった論理構成で、音形によるイメージ喚起問題が検討されたようだが、正直まだ理解が及ばない。2021/03/04