出版社内容情報
アウシュヴィッツ以後の現代で見ることの訓練とは。映像表現と歴史の現実を重ねる批評の実践。
内容説明
私たちは死者と共にある―。生命の尊厳が脅かされ、記憶喪失に陥った世紀末。崩壊する世界のただなかで黙示録となった映像を、歴史の現実に重ねる深層批評。
目次
アウシュヴィッツへ
ポーランドのナウシカ
忘れない写真―記録と記憶の絶対的差異
田中一村の墓碑銘
ゲルマニアの霧・1本の木
義しきことをなせ
酔って候
消え去る牛、アガルタ
哀悼・無力の逆転
美しい死体
暗闇のレッスン
霧の中の黒い女
記録映画と策略
取り残された者の尊厳
映画としての“瞑想の寺”
本当の慰安婦
さまよえる船
つぶされた窓
分かちあう痛み
孤独の遺産相続
もう死に意味はない
普遍的無内容
ダイアン・アーバスについて
写真の黙示録―中平卓馬をめぐって
短い夏の親友―森山大道と中平卓馬
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃまる
0
写真や映画や絵画についてはあまり詳しくないのですが、写真は結果的に全ての動物を“死体”化して静物に置き換えるという記述が印象的でした。鴨居玲もやはり気になるー。「顔」が語りかけてくるもの。 表現活動 とよくいうけれどそれは決してありもしない自己表現 などではなくある種の対話なのだろうと思いました。興味深いことにいつも“異邦人”としての眼がそこは存在している。2012/12/06
とまる
0
個人としての死でなく、保存され残された死を見つめる。表紙を見て、レヴィナスの「顔」の話を思い出す。殺人は他者の否定だが、それは他者の顔と対面しない時のみ可能なこと と彼は言う。「写真」という形で残された「顔」と対面するとき何を考えるか。どう感じたか。2011/10/12