出版社内容情報
自己愛パーソナリティ障害の精神分析的治療理論を系統的に展開。現代ナルシシズム研究の代表作。
コフートの三部作
・自己の分析
・自己の治癒
・自己の修復
内容説明
ナルシシズムは病的なものだろうか?鏡映し反響する共感的な関わりを通して、自己愛パーソナリティ障害の精神分析的治癒への道をきりひらく。コフート理論の根幹を明らかにした代表的著作。
目次
第1部 全能対象の治療的活性化(理想化転移;理想化転移の臨床例;理想化転移の臨床的治療的局面)
第2部 誇大自己の治療的活性化(鏡転移の型;鏡転移における治療過程)
第3部 自己愛転移の臨床的・技法的問題(自己愛転移についての一般的見解;自己愛転移の臨床例;理想化転移に対する分析者のいくつかの反応;鏡転移に対する分析者のいくつかの反応;自己愛パーソナリティの分析中にみられる治療的変形)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
65
本書が扱う心の問題とは、自己-対象(セルフオブジェクト)と蒼古的自己(アーカイックセルフ)の結合に障害があり、対象と自己が分離独立していないケース。たぶん私もそうした自己愛パーソナリティを持つ一人だろう。彼らは凝集的な自己を獲得しているから精神病ではないけれど、特異な自己愛を持つ故に生き難さを抱えたり社会的に孤立しがちだったりする。著者によれば自己愛は対象愛の歪んだ形ではなく並んで発達するものだ。そして高次な自己愛の退行・断片化によって自己愛パーソナリティが現れるという。考え方に用意周到な温かさを感じる。2017/10/15