内容説明
人権宣言の起源は何か。宗教改革、アメリカ革命、フランス革命を背景に、人権理念を現実の法律に転化する歴史の中の力を探る。カッシーラー論文を付す。
目次
人権宣言論(一七八九年八月二六日のフランスの『権利宣言』とその意義;ルソーの『社会契約論』はこの『宣言』の淵源ではないということ;『宣言』の模範は北アメリカ諸州の『権利章典』にあるということ;ヴァージニアおよびその他の北アメリカ諸州の『宣言』;フランスの『宣言』とアメリカの『宣言』との比較;アメリカの『権利宣言』とイギリスの『権利宣言』の対照性;普遍的な人権を法律によって確定せんとする観念の淵源はアメリカのイギリス人植民地における信教の自由であるということ;自然法論だけでは人および市民の権利の体系は産み出されなかったということ;人および市民の権利の体系はアメリカ革命中につくり出されたのだということ;人権とゲルマン的法観念)
人権宣言とイェリネック氏(エミール・ブトミー)
人権宣言論再論―ブトミー氏への回答(ゲオルク・イェリネック)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「自然法は国家を個人の意志行為から導き出す。そこでは個人は前国家的に、自由な存在として登場し、自然的にはどんなに不平等であっても、国家を建設するという行為においては平等な存在であることが示される。それゆえ自由と平等とが人間の生来の権利であるとの理論が成立してくるわけである。著作者の政治的傾向によって、これらの権利は、あるいは国家の中で消滅してしまうこともあれば、あるいは国家権力を制約するものたりつづけることもある。…生命と自由と財産…人権は、ロックの理論において、このような三つの方向に分解される。」2020/02/11