出版社内容情報
精神科医レインの2冊目の詩集。家族や恋人たち、他人や敵のあいだの人間の情動を鮮かに描き切る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
59
AZさんの【4月23日サン・ジョルディの日】の私へのお勧め本。夢で蝶々になった私は他人に乗っ取られるという幻想的な話や二人の軽い会話の後ろのカッコ内の矛盾する言葉が奇妙な後味を残したりと演劇的な手法も入っているような一筋縄ではいかない作品群!2016/04/05
♪みどりpiyopiyo♪
51
初めて読んだのは10代の頃。あまりの分からなさに戸惑いつつ、何とか理解しようと模索し、文字を追ったものの、やはり分からなくて 自分の未熟さを思ったのでした。■大人になって思うのは、世の中は誰にも分からない事ばかりだし、分かった気にならなくてもいいという事。■この本は 分からない事を分からない事として受け取る本なのだと思って読むと、不思議なことに その分からなさの中から何かの形が立ち上がって来るのです。人との対話も きっとそんなものなのでしょう。(→続2016/10/17
つねじろう
51
まあ、人が一人で存在出来ない理由のひとつに自分を理解するというか認識してくれる存在がないと自分自身も自分を認識出来ないという危うさがあるからだ。恋愛もセックスも家族の存在もその延長線上でしかない。だから人は社会的動物だと胸を張って力んだとしても所詮それは結構利己的な動機から結果そうなってるだけでそこまで偉い存在ではない。と云う人が語りたがらない真実を形式にも言ってる事にもとらわられることなく語るレイン。だから好き嫌いはハッキリするかも。豚は好きな方だって強力にスリリングだし。そう緊張感溢れる出逢いでした。2016/05/01
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
23
サンジョルデイのイベントで読友様からおすすめされた一冊。はじめの方は戯曲(かみ合わない会話)とも詩ともつかない短い文章が次々とあらわれて面食らってしまった。私の理解力では読むのは無理なのでは?と感じつつ読んでいると、1/3ほど読んだところで段々リズムがつかめるようになってきた。最後まで読んで感じたことは、かみあわない会話は私たちの普段の会話なのではないか?人間同士のコミュニケーションは可能なのか?ということだった。2016/04/22
かふ
21
十章までの男と女の対話なのだが、男女は夫婦のように思えるし精神科医と患者のようでもある。結局、女の患者は死ぬことになるのだが、モノローグ的に語る男の独白はキリスト者のような。「セントジェームス病院」が流れてきたところで、けっこう気に入ってしまった。アンチ・精神医学の組詩という感じだろうか?詩のようなリフレインが閉鎖的で息苦しいのだが、最後のタイトルの詩で解放される感じを受ける。男尊女卑の中で女はもがき、男はそれが当然だとする。女がヨガに走り、男はAIのダッチワイフで欲望を満足させる社会は現実的だった。2025/07/12