デカルト派言語学―合理主義思想の歴史の一章

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  • サイズ A5判/ページ数 160p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622019749
  • NDC分類 801

出版社内容情報

知識人とメディアの責任を中心に、長年にわたって現代世界に向けて発言をつづけてきたチョムスキーの存在と活動は、2001年9月11日の同時多発テロ以降、いっそう注目されるようになった。その人間の尊厳を追求する思想は、言語学者としての言語観にふかく根ざしている。

著者は、20代で変形生成文法を提唱、実証主義や行動主義と対峙しながら、現代言語学における革新をもたらした。その理論は、人間に組み込まれた生まれながらの言語能力を想定し、諸言語の深層に横たわる普遍性の発見を課題とするものである。

本書は、変形生成文法の源流を、17世紀の合理主義思想に求め、デカルトからポール=ロワヤル文法へ、さらにフンボルト、ロマン主義へと連なる言語学の流れを明らかにする。その試みは、言語行動における自由と創造性に光をあて、自らの言語観、人間観を示す《方法序説》となっている。初版1976年、久々の復刊。


Noam Chomsky(ノーム・チョムスキー)
1928年、アメリカ、フィラデルフィアに、ユダヤ人として生れる。ペンシルヴァニア大学卒業。1961年よりマサチューセッツ工科大学教授。変形生成文法を提唱、現代言語学に革新をもたらす。その方法論は言語学の枠を超えて、哲学、心理学にも影響を及ぼした。著書として『文法の構造』(研究社出版、1963)『文法理論の諸相』(研究社出版、1970)『言語論』(大修館書店、1979)『統率・束縛理論』(研究社出版、1986)『言語と精神』(河出書房新社、1996)など。また政治・社会問題に関する著作も発表しており、ことに2001年9月11日の同時多発テロ以後、アメリカ政府を批判する発言が注目されている。『9.11―アメリカに報復する資格はない!』(文春文庫、2002)『チョムスキー、世界を語る』(トランスビュー、2002)『ノーム・チョムスキー』(鶴見俊輔監修、リトルモア、2002)など。

川本茂雄(かわもと・しげお)訳
1913年、東京に生れる。1937年、早稲田大学文学部卒業。早稲田大学名誉教授。1983年歿。著書『言語学概説』(播磨書房、1954)『ニューワールド英和辞典』(編集主幹、講談社、1969)『新コンサイス仏和辞典』(内田和博と共編、三省堂、1993)ほか。訳書『歌物語 オーカッサンとニコレット』(岩波書店、1952)ヤーコブソン『一般言語学』(監修、みすず書房、1973)チョムスキー『知識と自由』(番町書房、1975)『言語と精神』(河出書房新社、1996)ほか。

内容説明

本書は、変形生成文法の源流を、17世紀の合理主義思想に求め、デカルトからポール=ロワヤル文法へ、さらにフンボルト、ロマン主義へと連なる言語学の流れを明らかにする。その試みは、言語行動における自由と創造性に光をあて、自らの言語観、人間観を示す「方法序説」となっている。

目次

言語使用の創造的面
深層構造と表層構造
言語学における記述と説明
言語の習得と使用

著者等紹介

チョムスキー,ノーム[チョムスキー,ノーム][Chomsky,Noam]
1928年、アメリカ、フィラデルフィアに、ユダヤ人として生れる。ペンシルヴァニア大学卒業。1961年よりマサチューセッツ工科大学教授。変形生成文法を提唱、現代言語学に革新をもたらす。その方法論は言語学の枠を超えて、哲学、心理学にも影響を及ぼした

川本茂雄[カワモトシゲオ]
1913年、東京に生れる。1937年、早稲田大学文学部卒業。早稲田大学名誉教授。1983年歿
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感想・レビュー

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スミレ雲

2
【図書館本】挫折。2019/12/30

roughfractus02

2
本書はデカルト以降の合理主義哲学での創造的/機械的なる区別を生成文法に行使する。ここで著者がデカルトらと異なるのは、言語能力ではなく言語運用を創造的と考える点だ。重要なのは、言語能力の創造性に関する回帰性概念を言語運用と区別することにある。外的刺激に反応する動物が持つ情念を機械的原理と区別するのは、無限の文が生産可能で改新可能な言語運用の創造性なのだ。文法ではその基礎は与えられても、そこから創造される言語運用のステップは説明できない。合理主義哲学に自らの哲学を位置づける著者は、自らの次の課題を創出する。2017/05/05

books

1
デカルトを出発点とし、言語の創造性に着目したアプローチの位置付けについて考える。チョムスキーによれば、彼の思想に近似したものにはフンボルトのものがあるという。実際の言語分析としてはポールロワイヤル文法が生成文法とよく似た線で文法を研究している。

くにお

1
ページ数にして日本語訳では約100ページ、原文では80ページ足らずの本ですが、なんとも読み応えのある本です。  本書では、チョムスキーが自身の言語理論を17世紀デカルトに端を発する合理主義哲学の流れの中に位置していることを示しています。必然的な結果として"Syntactic Strucure"や"Aspect of The Theory of Syntax"などの著作とは違い、哲学書としての性格が強いです。デカルトは、自然を大きな複雑機械だという論を展開しましたが、このような機械論的自然観ではどうしても説2009/04/26

左手爆弾

0
4部に分けられ、最初の1部が歴史的概観で、残りが各論についてかつての「デカルト派言語学」の立場からどのように解されるかについて述べられている。デカルト派言語学は機械論的人間観を排除し、人間言語の創造的側面を強調する。人間は合理的動物であって、それは本能から自由なのである。フンボルトの人文主義的傾向もこうした人間観に影響されている。外部から自由であることが人間の自由なのだというわけだ。外部の甚だ不完全なデータを基盤にしつつ、言語習得が可能であること、ここにもチョムスキーの言語学がうかがえる。2016/05/19

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