出版社内容情報
未開社会の親族関係、社会構造、宗教、神話、芸術に構造分析の軌跡を具体的に例示した、構造主義人類学のマニフェストというべき画期的著作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
18
12歳の少女の手を握ってヒステリー発作を起こさせたため呪術を使った疑いで責められた少年の逸話などから、呪術の思考体系に現代社会のそれと同じ一貫性を認めるも、そこで終わらないのが構造主義の祖。シャーマンと精神分析を対比させたのち、各個人の歴史の語彙を集めた辞書としての潜在意識とそれらに構造的法則を課して組織する無意識を区別。個々の心理や語りや集団において要素の内容が違っていても、諸現象は基本構造に集約できると考えるので、文明と野蛮を切り離し野蛮を下に見るとかはしない。他の人々へ影響を与えた様々な論文を収録。2017/03/17
roughfractus02
10
文化と自然を区別する際、著者は周到に潜在意識と無意識を区別する。個々のグロッサリーから成る潜在意識は構造言語学の弁別的音韻システムと捉えられ、さらにその性質上群論の離散群として扱われる。一方、自然を連続群と捉える著者は2つの群に関わる変換群の場を設け、そこを無意識と呼んだ。無意識が構造なのは、変換の継続によって不変的特性が保たれるからだ。変形規則から成る無意識は自然という連続群に触れている。変換によって変わるシステムと変換によって維持される構造においてヒト生命体は生き、コミュニケートすると本書は主張する。2018/08/03
テッテレこだち
5
出版当時の構造主義、ならびに人類学を取り巻く環境についての評論集、という感じ。ジャンルがとても多岐にわたるが、印象的だったのは「人類学者は社会科学の天文学者(p423)」という一節。先日亡くなられた川田順三氏のレヴィストロース論が巻末にあり、こちらも読みごたえがあった。人類学は知っていなければいけないことが本当に多いが、人類学の教育カリキュラムについてとか、人類学を学んだ者が社会に対して成しうる貢献とかについては、今現在どんな感じで生かされているものなのか気になる。2025/01/16
mittsko
2
折にふれ手にする一冊 今回は「呪術」と「芸術」のパートを読みなおした 面白いなぁ…名著だなぁ… すげぇなぁ…2013/06/06
樋脇寿一
1
安易にサルトルと対立させることは空しいと思うのだが、レヴィ=ストロースの「構造主義」は『弁証法的理性批判』の実存主義にかわる戦後の新たな思想として注目されたことは否めない。 「構造」の概念は、人類学における異文化社会理解がモデルの構成をつうじて試みられること、そのモデルには現象と同じ尺度で構成される「機械的モデル」と現象より大きな尺度で作られる「統計学的モデル」とがあること、社会構造論には社会静態学の「コミュニケーションの構造」と社会動態学の「従属の構造」が区別されることなど興味深い視点が示されている。2020/03/10