出版社内容情報
近代の法社会は、法律家集団によってどのように担われたのか。15世紀から19世紀にかけて、ドイツにおける民衆、権力、学問、革命と法の関係を考察。
内容説明
本書の方法の特徴はつぎの点にある。いわゆる法解釈学・法廷技術・立法作業といった法現象を、制度の側面からではなく、あくまで“人間集団としての法律家社会グループ”の側面から考察した点にある。法を具体的に創出してゆく法律家集団を中間項において、法と政治と経済という三者の相互の作用・反作用のプロセスを具体的に辿った歴史的分析は、一定の様式で支配層=エリートを創出する社会の指標を示しつつ、一方において近代の各社会構造の体質を見立てる処方箋ともなっている。こうして15世紀以来の各時代の法的エネルギーの中核的モメントはいかんなく明示された。これは新しい歴史学の先駆であり、社会史・政治史・経済史などとの隔壁を破って、ほかの歴史学との自由なコミュニケーションを可能にするものである。構想の雄大さ、視角の斬新さ、論証の多彩さは画期的著作の実感を読者に与えずにはいない。
目次
序説 近代ヨーロッパの法律家の知識社会学的諸類型
第1部 民衆と法(法律家身分の成立;法律家層の資質と精神構造;反法律家運動;宗教改革・人文主義思想と法律学)
第2部 権力と法(法律家と権力;啓蒙絶対制下における自然法・官房学と法律学;啓蒙絶対制期における立法と法律家)
第3部 学問と法(歴史法学派の誕生;学問と国家権力との癒着;ドイツの知識社会;ドイツ法学の資質形成)
第4部 革命と法(ゲルマニステンと政治的運動;裁判官層の自由主義化;プロイセン官僚制とラインラント;革命に対する法律家層の対応)
著者等紹介
上山安敏[ウエヤマヤストシ]
1925年兵庫県に生れる。1949年シベリヤより復員帰国。1953年京都大学法学部卒業。専攻西洋法制史。現在京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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