内容説明
『歩きながら考える』(1982)『たちどまって考える』(1984)につづくものとして本書は編まれた。これは一つのトンネルにも例えることができようか、この詩人哲学人を通過することによって、日常の風景や身辺の瑣事は列車がトンネルを抜け出たときのように全く新しい様相を帯び、不思議なひろがりと明るさをもつものとなる。音楽や美術の鑑賞、恋愛の仕方から「弁証法」「実存」に至るまで、日常のことばで“話すように”かかれた62篇の短文は、考えること、哲学することの楽しさを存分に味わわせてくれる。そのほか「ソクラテスと女友達」など6篇、殊に終戦40年の記念にかかれた「四十年目の八月十五日」と「矢内原忠雄が大学を去った日」は、静かに、しかし毅然と平和への想いを綴った珠玉の文章である。
目次
話しながら考える
思索の風景
見たり聴いたり
日記についての日記
ソクラテスと女友達
NOBU TAKEHISA展に寄せて
学生時代の読書
矢内原忠雄が大学を去った日
40年目の8月15日