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ドストエフスキーとカント―『カラマーゾフの兄弟』を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 195p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784622010968
  • NDC分類 983

出版社内容情報

人間の苦悩を描いた心理小説の大作『カラマーゾフの兄弟』を『純粋理性批判』を軸に読み解く。

内容説明

著者ゴロソフケルは小説における父親殺しの犯人は誰かという推理小説風のテーマに絞りながら、それをイデーのレベルで問題にしていく。真犯人はイワンの二律背反的知性に潜む〈悪魔〉ではなかろうか?その推論のプロセスはスリルと謎解きに満ちている。著者は言う。ドストエフスキーは西欧批判哲学の理論的知性に宿命的な悲劇性とヴォードヴィル性をイワン=悪魔の形象において描き出し、カントに代表される西欧批判哲学と決闘を行なったのだ、と。ドストエフスキー研究に新鮮な一石を投ずる野心作である。

目次

1 カラマーゾフ老人を殺したのは誰か?
2 殺人犯は身代り
3 「秘密」と「神秘」
4 かげの主人公―テーゼとアンチテーゼ
5 主人公の仮面をかぶったテーゼとアンチテーゼの決闘
6 カント的アンチノミーの主人公、イワン・カラマーゾフ
7 科なくして罪ありとする判決
8 「理性の避けがたい錯覚」という怪物、そして良心の犠牲者としての錯覚の犠性者
9 悪魔自身にも秘められた悪魔の最後の秘密
10 小説の「深淵」と「真実」
11 解かれた秘密

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

amamori

1
神や不死があるのかどうか、という形而上学的問いの答えには、唯一の答えはない。カントはそれを 二律背反 アンチノミーによって論証した。形而上学的問いはもはや不毛であるから打ち捨ててよい。しかし そう力強く感じられない者にとっては ニヒリズムを意味する。イワンもよく誤解されるが 自己表明どおりの 腹の据わった無神論者であれば 病むことはなかったのだろう。彼は 形而上学的問いを打ち捨てることができず 不毛な生きる二律背反となり、アリョーシャ的なるものと スメルジャコフ的なものに 引き裂かれるドラマを演じる。2013/01/17

ダイスケ

0
『カラマーゾフの兄弟』の中に、カントの『純粋理性批判』のフラグメントを見出し、考察していく本。父親殺しが誰であるのか?この永遠のテーマに答えを与える一冊である。全部が全部正しいと言えるか、それを僕には判別できないが、それでもこれからの僕がドストエフスキーを読んでいく上での一つの航路を示してくれた。2020/12/09

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